メンタルヘルス不調者の職場復帰
「こうちさんぽメールマガジン」2010.10月号より
基幹相談員 槇本宏子
メンタルヘルス対策の中で、職場復帰は、本人-主治医-産業医等産業保健スタッフ-上司-人事労務担当者-同僚-家族などの関係者の連携が大事で、それだけ人と人のコミュニケーションが必要な活動になります。連携の有無が復職してからの状況にも大きく影響します。大企業の少ない高知県では、人的余裕がない中で大変とは思いますが、基本を理解した上で実情にあった対応が必要です。今回は、厚生労働省の手引きと、職場内で実際に支援した経験を基にしたポイントについてご紹介いたします。
まず、基本になるもの・・・
厚生労働省から出されている以下のマニュアルが基本的な対応になります。
(*平成21年3月改訂 心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支の手引
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei28/index.html)
手引きによる、職場復帰支援の流れは以下のようになっています。
第1ステップ 病気休業開始及び休業中のケア
第2ステップ 主治医による職場復帰可能の判断
第3ステップ 職場復帰の可否の判断及び職場復帰支援プランの作成
第4ステップ 最終的な職場復帰の決定~職場復帰~
第5ステップ 職場復帰のフォローアップ
具体的なポイント・・・
これまで20名以上復職を支援した経験の中での具体的なポイントとして、
- 本人と休業中に連絡をとること
- 少なくとも1ヶ月に1度程度
- 本人の同意を得て、主治医との連携をとること
- 本人の受診時を利用し本人を交えて主治医と面談をするなど方法は色々です。
- 事業場側は、事業場の制度や本人の業務内容などを伝え、主治医からは、本人への配慮や復職に向けて準備することなどについて助言を得ます。
- 療養から復職後まで、本人を支援する目的で主治医との面談を希望することを、本人に理解してもらうことが大切です。
- 復職時には本人の復職の意思確認と、主治医の復職可能診断書の提出が不可欠
- 復帰希望日より1ヶ月前に復職の意思を確認できると、事業場の準備に余裕が持てます。
- 最終的に復職を決めるのは事業場
- 産業医を含め複数のメンバーで客観的に判断することが大切です。
- 職場復帰支援のプラン作成
- 復帰日、短時間勤務、休日の取り方、短時間勤務の場合の給与をどうするか、勤務内容など、具体的に作成します。
- 作成は、産業医・主治医の意見や、本人の希望、受け入れ部署の事情等、関わる方々からの情報収集をしてから行います。
- 復職後の定期的な面談
- 通院や服薬など主治医からの指示が守られているか、何か困っていることはないかなどの情報を得ることと、業務の達成度などを確認し、今後の計画に活かします。
- 本人との面談だけでなく、管理者とも面談し、本人を支える周囲への配慮も行います。
などがあげられます。
このポイントを
- 誰が実行するか?(誰がキーパーソンか)
- 就業規則との兼ね合いは?
- 申請様式はどうする?
などの会社のルール作成が必要となり、全従業員に研修等を通し周知することが大切になります。
事業場によって出来る範囲も、関わる深さも違うと思いますが、出来るだけポイントを押さえ、関係者との連携を取ることが、回復への支援につながると感じています。
メンタルヘルス対策支援センターでは、職場復帰支援に関してのご相談もお受けしております。指針等の情報提供を含め、支援プラン作成などご一緒に考えてまいりますのでお気軽にご相談ください。