お知らせ

熱中症を防ごう

「こうちさんぽメールマガジン」2010.6月号より

炎天下での屋外や屋内の熱源近くなど、暑熱環境のもとでの作業では、適切な水分補給や休憩などを行わなければ、労働者が熱中症を発症するケースがあり、とくにこれからの季節、熱中症の予防は企業の衛生管理担当者や管理監督者にとって重要な課題であります。

そこで今回は、労働現場での熱中症の予防対策について説明いたします。

職場における熱中症のリスク

職場は、スポーツのような強度の高い身体活動を行うことは希であるが、

  1. 炉や内燃機等の発熱体の存在等により外気よりも暑くなる場合がある
  2. 作業によっては保護衣や保護具をはじめとする装備が必要となる
  3. 自らの意思で休憩を取りにくい、という特徴がある。

職場における熱中症の発症に関係の深い危険有害要因(ハザード)には、作業環境に係る要因として、高温、多湿、輻射体(太陽や高温物体)の存在、無風(または微風)がある。また、作業に係る要因として、身体負荷の高い作業、長い作業時間、透湿性および通気性の悪い作業服、安全衛生保護具の着用等がある。労働者の個人的要因や組織的要因も加えて、熱中症の発症リスクが高い状態を労働衛生管理(3管理と教育、体制)に対応させて分類すると表1のように整理できる。リスクの有無、大きさは日々変化するので、毎日作業日当日の天気予報をチェックすることはもちろん、作業計画・製造工程の変更時や新規設備の導入時等に熱中症のリスクが発生・増大していないかを確認することが管理監督者等に求められる。また、労働者の健康状態もリスクを高める要因なので、産業保健スタツフ等は、保健指導時の面談や健康相談等を通じ、リスクの見逃しがないように注意する必要がある。

法令に基づく熱中症の予防対策

労働安全衛生規則等の労働関係法令では、

  1. 暑熱または多湿の屋内作業場、
  2. 多量の高熱物体を取り扱う業務および著しく暑熱な場所における業務、
  3. 多量の発汗を伴う作業場などの高温環境での作業、

について規制が設けられている。1.については半月以内ごとに1回作業環境の測定(労働安全衛生規則:以下「安衛則」587条等)などが、2.については労働時間延長の制限(労働基準法施行規則18条)や、健康診断の実施(配置替え時と半年以内ごとの1回)(安衛則45条)などが規定されている。また、3.については塩と飲料水を備えることとされている(安衛則617条)。

表1 職場において熱中症発症のリスクが高い状態

作業環境管理
  • 温度が高い
  • 湿度が高い
  • 輻射熱が大きい
  • 涼しい風がない
  • 日陰の涼しい休憩場所がない
作業管理
  • 身体負荷が大きい
  • 連続作業時間が長い
  • 休憩頻度が少なく時間が短い
  • 日陰に入ったり上着を脱いだりといった避暑行動をとりにくい
  • 水分や塩分が補給しにくい
  • 服装の吸熱性が高く通気性や水分の透過性が悪い
  • 保護具の着用が必要である
健康管理
  • 暑さに慣れていない
  • 水分や塩分の摂取量が不足している
  • 皮下脂肪が厚い
  • 年齢が高い
  • 心臓、脳等の持病がある
  • 発熱している
  • 下痢や脱水がある
  • 発汗や体温調節を障害する薬(パーキンソン病治療薬、抗てんかん薬、抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬、抗不整脈薬等)を内服している
  • 塩分摂取を制限されている
労働衛生教育
  • 作業者、管理監督者が熱中症の知識に欠け対策を知らない
労働衛生管理体制
  • 暑熱環境の測定をしていない
  • 職場を巡視していない
  • 管理監督者が作業者の体調を把握していない
  • 休憩場所が整備されていない
  • 救急体制がない

上記の内容は中央労働災害防止協会発行「安全と健康5号」に掲載

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