休ませるべきか、休ませざるべきか?
「こうちさんぽメールマガジン」2010.5月号より
メンタルヘルス担当相談員 伊藤 高
職場でメンタルヘルス不全のケースが生じた場合、職場の上司として 、あるいは人事担当者として、どうアドバイスしたらよいか、迷われることあると思います。一般に典型的なうつ病のケースでは、仕事から離れゆっくり自宅療養するほうがよいとされています。そうでない場合は特に仕事を休み、自宅療養をしたほうがよいか否か、専門医でも判断に苦しむことがあります。では、どんな場合に仕事を休まないほうがよいのでしょうか?周囲の状況で気分が変わりやすい、他罰的で回避的、日内変動を伴わないなど、若い人に増えている「新型」うつ病も、仕事を休みだすと昼夜逆転など生活リズムの乱れが生じやすく、自宅に引きこもって治療にもよい影響を与えないことが多いとされています。
また、不安感と、それに伴うさまざまな身体症状(たとえば動悸や過換気症状など)を示すような疾患でも、治療を受けながら仕事を休まず、環境適応できるようになることが、治療の早道です。
一方、難しいのが出勤拒否を示すようなケース。この場合、休ませるというよりも、仕事に出てこれなくなり、やむを得ず休ませる形になってしまうことがあります。時には、職場側が困り本人が休めるように診断書を書いてくれと、要請されるようなことも。ずるずる休まれる様な場合、一旦日時を切って診断書を書いて休ませる形にして、区切りを付けるとうまく職場復帰できる場合もあります。