作業環境測定結果の評価に基づいて行う事業者の措置について
「こうちさんぽメールマガジン」2012.1月号より
労働衛生工学担当相談員 中西 淳一
今回は、作業環境測定結果の評価に基づいて行う事業者の措置のうち、所轄労働基準監督署長の許可による作業環境測定特例許可についてお話しします。
作業環境測定は、職場の有害物の存在状態を科学的に評価し、職場環境が良好であるか、改善措置が必要であるかを判断するために行うものです。
作業環境測定を実施した結果、その結果の評価に基づいて行う事業者の措置としましては、
- 第1管理区分と評価された場合
作業環境管理が適切であると判断される状態であり、現在の作業環境管理の継続的維持に努めることが求められます。 - 第2管理区分と評価された場合
作業環境管理になお改善の余地があると判断される状態であり、点検実施と改善措置の努力義務が課せられます。 - 第3管理区分と評価された場合
作業環境管理が適切でないと判断される状態であり、応急措置として有効な呼吸用保護具を使用させることと共に、著しいばく露を受けた場合等で産業医等が必要と認めた場合には健康診断の実施が課せられ、さらに、直ちに点検を実施し、改善措置を行い、効果を確認するための臨時の作業環境測定と評価を行うことが課せられます。
作業環境を実施している事業者の皆様は、上記の措置は良くご理解されていることと思いますが、第1管理区分が継続している場合の、所轄労働基準監督署長の許可による作業環境測定特例許可によるメリットのことはご存じでしょうか。
作業環境測定基準には、所轄労働基準監督署長の許可基準として、申請のあった単位作業場所について、申請日以前の2年間において、- 作業環境測定が6か月以内ごとに1回、定期に実施されていること。
- 作業環境測定が作業環境測定基準に従って行われていること。
- 業環境測定の結果の評価がすべて第1管理区分であること。
- 作業環境測定の結果の評価が作業環境評価基準に従って行われていること。
- 労働安全衛生法施行令別表第6の2第1号から第47号までに掲げる有機溶剤を2種類以上含有するもの(以下「混合有機溶剤」という。)を測定対象物とする場合には、当該混合有機溶剤に含有される有機溶剤のうち、含有量が最大のものが作業環境測定基準第13条第2項各号に掲げる物質であること。
- 測定対象物質、単位作業場所における有害業務の概要、単位作業場所の位置に変更がないこと。
のすべての項目に適合する場合、作業環境測定特例許可申請書を所轄の労働基準監督署長に申請しますと、粉じん測定の場合には、ろ過捕集による併行測定が省略でき、相対濃度指示方法いわゆるデジタル粉じん計よる測定が、また、有機溶剤や特定化学物質の測定の場合には、鉛を除いて検知管による測定ができるようになり、労働衛生に係る作業環境測定コストを抑えることができます。
また、第1管理区分が1年6か月以上継続している場合には、所轄労働基準監督署長の許可を受けることにより、有機溶剤業務において、規定風速未満の制御風速での局所排気装置の稼働ができ、動力コストを抑えることができます。
事業者の皆様、是非一度、測定を委託されている作業環境測定機関にご相談されてみてはいかがでしょうか。