お知らせ

海外赴任者のワクチン接種について

産業保健情報誌「よさこい」2005.1月号より

高知県衛生研究所

近年、中国をはじめ東南アジアなどへ進出する企業が増え、海外赴任者も増加の一途を辿っています。しかし、赴任者の感染症に対する予防意識は低く、約半数はワクチン接種を受けずに出国しているのが現状のようです。予防接種は特定の感染症に罹るのを防ぐために行われます。個人の健康を守ることはもちろんですが、感染症が社会全体に拡がること防ぐためでもあります。なぜ、ワクチン接種が必要であるのかを十分理解した上で、計画的にワクチン接種を受けてください。

海外赴任者への予防接種の原則

余裕のある予防接種計画

ワクチン接種を計画的に行うためには時間的余裕が必要で、少なくても2~3カ月、できればそれ以上の余裕を持って行う。

赴任寸前のワクチン接種は避ける

赴任寸前のワクチン接種は万が一の副反応、あるいは予測できる反応(ワクチン接種による発熱、発疹など)などが、旅行中や滞在地に到着したばかりの不安定な状態には好ましくないので、できるだけ避けるのが望ましい。

接種間隔と多種同時接種方式

わが国ではDPT以外は単独接種が原則であり、生ワクチン接種後、次のワクチンまでは4週間以上、不活化ワクチン接種後、1週間以上の間隔が定められている。これは生ワクチン同士による干渉作用や、副反応が生じた場合の原因追求をわかりやすくするなどが主な理由です。

赴任前の時間に余裕のない場合などは黄熱とコレラワクチンの組み合わせを除き、多くのワクチンは多種同時接種方式を採用することが可能です。この場合は、医学的に通常問題のないことを本人または保護者に説明し、了解を得る必要がある。

接種ワクチンの優先順位

現地であらかじめ接種を要求されているワクチン、例えば黄熱のように現地の状況により採用が決定されたものについては、原則として受けなくてはなりません。少児に対しては、原則として6種類のEPIワクチン(麻疹、ポリオ、DPT、BCG)接種を最優先します。大人であっても、基本的なワクチンを接種していない場合は極力接種しておいたほうがよいと思われます。

ワクチン接種方式の違い

ワクチン接種方式は国によってさまざまであり、日本方式がスタンダードというわけではありません。長期滞在者に関しては渡航後には現地で採用されている接種方式に切り替えるのが有利であると思われます。

日本に帰国してのワクチン追加

渡航後に比較的長い一時帰国の機会がありそうな場合には、その時を利用して日本で追加ワクチン(日本脳炎、破傷風、A型肝炎、B型肝炎など)の接種を行うことも一考かと思われます。

赴任地の健康情報調査

海外渡航が決まったら、派遣先での生活、医療などについて、分からないことや疑問に感じたことは自分で納得がいくまで調べましょう。日本人は感染症については温室育ちの面があります。免疫を持たない人が多いので、外国暮らしの際には些細な不注意で感染し、命に関わることがあります。あなたと家族の健康を守るために、最新の情報を身につけ、対策を立てておく必要があります。

赴任地の健康情報入手先

以上

ご相談・ご要望を受け付けています。

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