お知らせ

事務所の空気環境の点検について

「こうちさんぽニュース」2009.7月号より

労働衛生工学担当相談員 門田 義彦

事務をとっている事務室にも、工場などと同じように、作業環境の基準が「事務所衛生基準規則」によって定められています。これから夏場などは、冷房などで体調不良を訴える方が出てきます。快適な職場を維持するため、事務室の空気環境を点検することをおすすめします。ここでは、事務室の空気環境の基準について解説します。

事務所衛生基準規則

事務室は、すべて「事務所衛生基準規則」(以下事務所則といいます)の適用を受けます。さらに、「特定建築物」(延べ床面積3000㎡以上の大規模な事務所や店舗等などの入ったビルや8000㎡以上の学校等)で事務所のあるものについては、事務所則とビル管法(建築物における衛生的環境の確保に関する法律)の両方の適用を受けます。

このうち、事務所則の空気環境に関する基準については、以下のようなものがあります。

一般的な空気環境

すべての事務所の空気環境は、次の基準を満足しなければいけません。

室内空気の環境基準 一酸化炭素 50ppm以下とすること
二酸化炭素 0.5%以下とすること
温度 10℃以下のとき 暖房等の措置を行うこと
冷房実施のとき 外気温より著しく低くしないこと(外気温との差は7℃以下とする)
ホルムアルデヒド 使用開始後、最初の6月から9月までに1回、測定すること 0.1㎎/m3

ホルムアルデヒドは、問題となっているシックハウス病などの原因物質であると考えられることから、平成16年に新たに、事務所則にくわえられました。ホルムアルデヒドは、新築や改装、模様替えのあと、周囲の気温が高くなる夏期に、建材や壁紙などから、部屋の空気を汚染します。このため、建築や大規模な改修や模様替えをし、使用を開始した後、最初の6月から9月までに1回、測定することが義務づけられています。

空気調和設備や機械空調設備を備えている室

空気調和設備とは、外気を取り入れて、浄化して、温度、湿度及び流量を調節して供給する設備をいいます。一方で、機械空調設備とは、外気を取り入れて、空気を浄化し、その流量を調節して供給する設備をいいます。これらの設備では、供給する空気や室内の空気を以下の基準に適合するようにしないといけません。なお、以前は、中央管理方式のみが規定されていましたが、改訂されて、すべての空気調和設備と機械空調設備をもった室に適用されますので注意して下さい。ただし、中央管理方式以外の空気調和設備を備えている部屋の浮遊粉じんについては、当分の間は適用されません。

空気調和設備 供給空気の
清浄度
浮遊粉じん量(10µm以下) 0.15mg/m3以下とすること
一酸化炭素 10ppm以下とすること
二酸化炭素 0.1%以下とすること
ホルムアルデヒド 0.1㎎/m3以下とすること
室内空気の
基準
気流 0.5m/s以下とすること
室温 17℃以上28℃以下になるように努めること
相対湿度 40%以上70%以下になるように努めること
機械換気設備 供給空気の
清浄度
浮遊粉じん 0.15mg/m3以下とすること
一酸化炭素 10ppm以下とすること
二酸化炭素 0.1%以下とすること
ホルムアルデヒド 0.1㎎/m3以下とすること
室の気流 0.5m/s以下とすること

測定の義務

空気調和設備を備えている建物で、中央管理方式のものは、一酸化炭素、二酸化炭素、室温及び外気温、相対湿度については、2ヶ月に一回測定を実施して、3年間保存しなければなりません。ただし、一定の条件を満たすときは、緩和の措置があります。

なお、中央管理方式とは、建物に供給する空気を機械室などで一元的に管理しているものをいいます。

事務所則では、さらに測定義務のある物質として、すでに述べたとおり、大規模な改修などのあとのホルムアルデヒドを指定しています。

照明

照明については次の規定があります。

照度 精密な作業 300ルクス以上とすること
普通の作業 150ルクス以上とすること
粗な作業 70ルクス以上とすること

その他

その他、事務所則には、空気調和設備の冷却塔や加湿装置の供給水等について、基準や点検の頻度が決められています。

事務所の作業環境測定

事務所則で基準が定められている各項目の測定位置は、それぞれ以下のとおりです。

一般的な空気環境 一酸化炭素

二酸化炭素

気温

相対湿度

気流

室の通常の使用時間中に、室の中央部の床上75cm以上120cm以下の位置において行なうものとする。
空気調和設備、機械換気設備の供給空気の清浄度 浮遊粉じん

一酸化炭素

二酸化炭素

ホルムアルデヒド

空気の吹出口等
建築、大規模改修後、模様替後 ホルムアルデヒド 室の通常の使用時間中に、当該室の中央部の床上50cm以上150cm以下の位置において行うものとする。

事務所則で基準が定められた項目については、高知産業保健推進センターの貸し出し機器等で測定することができます。

項目 高知産業保健推進センター貸出機器
浮遊粉じん レーザー粉じん計 LD3K
一酸化炭素・二酸化炭素 北川式真空ガス法採取器(検知管)
一酸化炭素・二酸化炭素測定器 CMCD-11
気温・相対湿度 アスマン通風乾湿計(電動式)
デジタル温湿度計 SK-110TRH
気流 熱線式風速計 ISA-78 ISA-80
スモークテスター
ホルムアルデヒド 北川式真空ガス法採取器(検知管)
マルチガスファインダー FP-85
照度 ポケット照度計 ANA-F9
デジタル照度計ANA-F11

働いている事務所の空気環境の基準が守られているかどうか、一度点検をしてみましょう。具体的な機器の使用方法等について、お気軽に高知産業保健センターに問い合わせをして下さい。

ご相談・ご要望を受け付けています。

ご利用時間:午前8時30分~午後5時15分(土・日曜日・祝祭日、年末年始除く)

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