お知らせ

活用される「安全衛生管理計画」策定のために

「こうちさんぽメールマガジン」2011.1月号より

労働衛生工学担当相談員 門田 義彦

あけまして、おめでとうございます。お正月によく聞くことわざに「一年の計は元旦にあり」があります。「ものごとは最初が肝心」という意味で、お正月に、今年はどういう年にしようかと、いろいろと考えることが大事だということでしょう。

安全衛生の分野でも、年(年度)のはじめには「安全衛生管理計画」を策定しなければなりません。ところが、作ってはいるのですが、ファイルにしまい込んだままという”残念な”計画があります。なぜでしょうか?・・・ということで活用される計画にするためには、どうすればよいのか、考えてみました。

第1に計画を作る段階です。

ここで、もっとも大事なのは、「なぜ計画を立てるか」を改めて認識することでしょう。生産分野でも「生産計画」が大事になるように、安全衛生分野でも「計画」が必要になってきます。安全衛生の目的については、いうまでもありませんが、計画を策定する目的は、安全衛生の充実のために欠かせないものです。

つぎに、トップの方針表明が大事になります。もちろん安全衛生に関す意識は、誰もが持っているはずですが、トップがこれをかたちにして表明することで、組織がどの方向に向かっていくかが明確になります。

そして、計画策定にあたって、過去よりも進歩することが必要です。昨年の計画のコピーでは、意味がありません。逆に、理想を追いすぎるあまり、達成がとても不可能な計画になってもだめです。机上の空論ではなく、現場の意見を取り入れることが重要になります。そのためには、リスクアセスメントの結果や安全衛生員会を活用して下さい。

さらに、目標は具体的に設定して下さい。抽象的で曖昧な目標だと、計画の進捗状況がわからなくなってしまいます。例えば、「健康診断の受診率をあげる」ではなく「健康診断の受診率を95%にする」とか、「職場の騒音をさげる」ではなく「職場の騒音を90dBから85dBにする」いったふうに、数値目標を掲げるとよいでしょう。

第2に計画を実施する段階です。

方針が決定され、目標が掲げられたら、活動する内容が決まります。活動する際には、中心となる人が必要です。衛生管理者や衛生推進者が、中心となりますが、職長や管理職も巻き込みましょう。

作業者に「何をするべきか」が浸透しているでしょうか? 計画を進めていく主体となる作業者が、目標や計画を知らないようでは、達成はできません。目標や管理計画を見やすい場所に掲示したり、ミーティングや行事を活用したりして、周知に努めて下さい。

第3に計画をチェックする段階です。

目標を達成するための道筋(スケジュール)が計画です。長い期間では、中途での経過を点検することが必要です。1年間の目標をもとにして、月別に中間目標を設定し、達成状況を点検して下さい。中間目標の達成状況によっては、計画を変更することも必要となってきます。

最終的に「安全衛生管理計画」の達成状況はどうだったでしょう。達成した項目、未達成の項目がでてくると思います。これを評価し、次年度の計画に活かすようにして下さい。

このように年(年度)の初めには、実効性のある「安全衛生管理計画」を策定し、安全衛生活動を計画的に推進しましょう。

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