お知らせ

騒音対策について

「こうちさんぽメールマガジン」2011.4月号より

労働衛生工学担当相談員 中西 淳一

今回は、職場の作業環境を管理する際の騒音対策についてご紹介します。

騒音対策の基本は、発生源対策として可能な限り低騒音型の機械を採用する事や、騒音の伝播経路対策として予め作業者の行動範囲を念頭に置いた騒音発生源の配置を設計段階から考慮することが重要です。しかし、旧来の設備機器の更新は多額の費用負担を伴う事から、騒音対策を耳栓や耳覆い等の衛生保護具の着用に頼ってしまっている場合が多いのではないでしょうか。

さて、騒音は空気の圧力変化が音速で伝搬される現象である事から、音響工学分野で明らかにされている空気中の音波の減衰や伝搬に関する性質等をうまく組み合わせる事により解決出来る場合があります。

代表的な騒音対策の方法を一覧にしますと下表のようになります。

表-1 代表的な騒音対策の方法

分類 方法 具体例
騒音発生源対策 発生源の低騒音化 低騒音型機会の採用
発生原因の除去 給油、不釣合調整、部品交換等
遮音 防音カバー、ラギング
消音 消音器、吸音ダクト
防振 防振ゴムの取り付け
制振 制振材の装着
運転方法の改善 自動化、配置の変更等
伝播経路対策 距離減衰 配置の変更等
遮蔽効果 遮蔽物、防音壁
吸音 建屋内部の消音処理
指向性 音源の向きの変更
受音者対策 遮音 防音監視室
作業方法の改善 作業スケジュールの調整、遠隔操作等
耳の保護 耳栓、耳覆い

また、吸音材料と吸音の周波数特性の関係は、下表のようになります。騒音対策として防音壁等の材質を検討する際のお役立て下さい。

表-2 吸音材料と吸音の周波数特性の関係

吸音材料 主な吸音領域
多孔質材料+剛壁(適切な表面処理を含む) 高音域
多孔質材料+空気層+剛壁(適切な表面処理を含む) 中高音域
共鳴構造体(多孔質材を併用する) 低音域または中音域
穴あき板+多孔質材料(+空気層)+剛壁 中音域

参考書籍:

  1. 中央労働災害防止協会発行 労働省安全衛生部労働衛生課編 作業環境における騒音の管理
  2. 産業環境管理協会発行 公害防止の技術と法規 騒音編

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