環境測定と共に30年
「こうちさんぽメールマガジン」2009.2月号より
労働衛生工学担当相談員 川村 清雄
私が作業環境測定や環境測定に携わるようになったのは、昭和40年代後半、公害が社会問題となり、公害対策のため多くの環境関連法令が整備され、計量法の改正により、環境計量証明事業所や環境計量士制度が確立され、又労働安全衛生のための、作業環境測定法が昭和50年に制定され、作業環境測定機関や作業環境測定士が誕生しました。
この頃より、今日まで30余年、環境測定に係わってきたことになります。
振り返ってみると、初期の段階では、分析機器の能力面で精度を上げる為には、抽出・分離・クリーンアップ等の前処理が重要視され、測定値の信頼性向上のための精度管理、特に回収率、再現性に分析技術が問われたことが思い出されます。現在では、化学分析機器の進歩により、微量成分測定が簡単な前処理で測定可能となり、分析精度とスピードが驚くほどアップしたことであります。
作業環境測定では、県外を含め現在、会社、病院、大学等65事業所で延べ400近い単位作業場所について測定をさせてもらっています。単位作業場所の管理区分は、毎年第3管理区分(不適切)が4~5%に相当する、15~20作業場が作業環境管理が不適切と判断される状態にあります。会社トップの作業環境管理への取り組み方の違いが大きく影響し、法律で決まっているから仕方なく測定している会社と、作業環境を良くしたいという情熱を感じる会社では、作業環境管理に取り組む姿勢はおのずと違ってきています。
よい環境で働きたいという願望は、みんな持っており、何よりも健康が一番大切だと思わない人はいません。よい環境を維持し、悪い作業場には、改善の手段を提案することも測定士の仕事と思って提案してきていますが、なかなか改善されない会社もあります。トップを始め関係者全員の協力がなければ作業環境管理の改善はうまく行きません。それをどうやって伝えてゆくかが、作業環境測定士に果たされた課題だと考えていますが、なかなかうまくゆかない、今日、この頃であります。