こうちさんぽメールマガジン第4号
トピックス
平成19年度地方労働行政運営方針の策定について
厚生労働省は、「公正かつ多様な働き方の実現と働く人たちの安全・安心の確保」等を内容とする平成19年度の労働行政運営方針を策定し、公表した。
これによると産業保健推進センターにおいてメンタルヘルス対策の推進等で一定の役割を果たすことが期待されている。
平成19年度高知労働局労働行政のあらまし
高知労働局においては働く人々が健康で安全・安心して働き、家族とともに豊かでゆとりある生活を送れるよう、「厳しい雇用情勢下における総合的な雇用対策」、「公正かつ多様な働き方の実現と働く人たちの安全・安心の確保」、「小子・高齢化への対応と新たなチャレンジを目指す者への就職支援」、「セーフティネット機能の維持と迅速・的確な対応」について、それぞれ重点事項を定め、効果的かつ積極的な行政を推進することとしている。
詳細は高知労働局まで
改正男女雇用機会均等法スタート
職場に働く人が性別による差別されることなく、また、働く女性が母性を尊重されつつ、その能力を十分発揮することができる雇用環境を整備するため、性別による差別禁止の範囲の拡大セクハラ防止措置の義務化、妊娠等を理由とする不利益取り扱いの禁止等を定めた「改正男女雇用機会均等法」が平成19年4月1日に施行されました。
詳細は高知労働局雇用均等室まで
相談員の窓
5月病に対応するためのメンタルヘルス対策について
近年、「心の健康」や「メンタルヘルス」「ストレス」という言葉が盛んに用いられています。厚生労働省の調査によると、職業生活にかかるストレスの割合は全体の63%と高く、業務による心理的な負担により精神障害の症状による労災請求も増加しています。
この背景となる原因は、実はこの季節にもあるように思います。
4月は「さくら」が日本列島を縦断し、希望を抱いて旅立ちの季節、入学、卒業、異動、就職、退職と人それぞれ嬉しいこと、悲しいことを実感する時期でもあります。
新たに社会人になられた新入社員さんは胸をはずませ、仕事に励み頑張っている姿が輝きます。
しかし、学生であった自分との別れや、新たな環境に戸惑いを監事、小さなミスも重なり現実と思っていたことのギャップに悩まれていることも多く見られます。
自分の働きたい、希望した仕事がない、自分は一生懸命しているのに評価されないなどのストレスが解消しないまま、またそのストレスに気づかないまま、気持ちの落ち込みが深まります。
生活環境の急速な変化は心理社会的要因として心の健康に大きく関与し、パーソナリティの障害を生む重大な背景になってくるものです。このような心の摩擦、葛藤がストレスとなります。
ハンス.セリエ博士(カナダの内分泌学者)によるとストレスとは「外界から加わる様々な刺激をストレッサーと名付け、そのストレッサーによって起こる心身の反応(心のひずみ)をストレスと定義しています。
日常生活や職業生活の出来事(ストレッサー)が発生したとき、自分自身の欲求との関係を調整していく過程によって、ストレスが左右されるものと考えます。
この調整は、絶えず変化してやまないものであり、それゆえに意識されることが弱く、無意識の中でどうどうめぐりになっていきます。
この調整機能の一つに喜怒哀楽=情動を知ることが大切です。喜怒哀楽は人間の本能であり、問題をみいだし、変化への可能性があることを知る姿勢ができています。
喜怒哀楽とは、快・不快で分けることができます。
快の情動 ― 安心、希望、愛情、喜び、悲しみ、感謝
不快の情動 ― 不安、失望、罪悪感、悲しみ、苦しみ、恐怖
米国のホームズとレイの「社会再適応評価尺度」の中の43項目の中から該当したそれぞれの項目の平均値の合計が年間300を越えた場合は、心身の健康に障害を起こしうると指摘しています。
その表によると「喪失」=「別れ」がストレス尺度が一番高いことを示しています。
人は不思議なことに自分の問題は自分が一番よく知っていて、自らが解決出来るものですが、喜怒哀楽が先行し、解決ができにくくなります。
ストレスに陥った原因の出来事からそれに伴って生じた感情と言動、どのような要求を考えていたのか、どのように評価したのか、これらの一連の話を傾聴しながら双方向のやりとりの中で、共感し、受容しながら、問題の把握、反復確認、問題の整頓、対処行動の支援を繰り返し、自らの方向付けを見い出すことができ、気持ちの整理がされて、心身の健康が維持出来ていきます。
産業保健Q&A
【Q1】
従業員の健診結果が健診施設より返却される場合、
- 会社のみへ
- 個人のみへ
- 個人と会社へ
の3つのケースが考えられる。2.の場合、本人の了解を得て「コピー」を保管する必要があると思われるが、本人の承諾が得られない時、法的に入手可能な方法があるか。また、会社内での健診結果の取扱いについて、どのような注意が必要か。(労務管理者)
【A1】
ご質問の1.は、健診結果が受診者本人に伝えられないことになり基本的にあってはならないケースといえますが、2.については、労働安全衛生法などで事業者の責務とされている法定の健康診断項目の結果か、法定外のものかで異なります。
「法定の健康診断項目」については、実施後の措置が事業者に義務付けられており、2.のケースは考えられません。健診機関から事業者への健診結果報告についても、本人の黙示の同意があると考えてよいとされており、改めて同意を取る必要がありません。ただし、職場に伝える健診結果の情報は、医療職が病名や検査結果等の生データを含まないものに加工することが求められます。医療職による生データの取扱いが難しい事業場では、個人情報管理や健康についての知識を有する衛生管理者、安全衛生推進者または衛生推進者、あるいは事業者と労働者の話し合いで決めた常勤者が担当し、その者に守秘義務を課す必要があります。医師や看護職が関与していない事業場では、健診結果の内容について、地域産業保健センターの医師や健康診断を実施した機関の医師などに相談する方法もあります。
人間ドック、がん検診などにおける「法定外健診項目」については、結果は健診機関から本人宛に送付されます。(ご質問の2.のケース)事業者は労働者が任意で提出した情報のみ使用することになりますが、事業者が法定外健診項目の情報を取得し、労働者の安全と健康の確保のため利用する場合は、あらかじめ衛生委員会などで労働者に利用目的を説明して承諾を得ることになります。その場合は、健診機関が事業者に結果を報告することも考えられます。
(注)回答作成にあたって、産業医学振興財団作成のパンフレット『職場と健康情報』を参考にしました。