こうちさんぽメールマガジン第7号
トピックス
高知県における労働災害の発生状況について
高知労働局によると平成19年7月25日現在、県内の労働災害(休業4日以上)の発生状況は以下のとおりとなっている。
- 概況
死傷災害について、平成19年6月末日現在、480人で前年同期に比べて9人、1.9%増加している。
死亡災害について、平成19年7月25日現在、11人で、前年同期に比べて7人増加している。 - 死傷災害の発生状況
- 製造業では、死傷者数は108人となっており、前年同期に比べて8人増加している。
- 建設業では、死傷者数は111人となっており、前年同期に比べて17人増加している。
- 運輸業では、死傷者数は36人となっており、前年同期に比べて15人減少している。
- 林業では、死傷者数は61人となっており、前年同期に比べて8人増加している。
- 第三次産業では、死傷者数は141人となっており、前年同期に比べて15人減少している。
- 死亡災害の発生状況
<業種別発生状況>- 製造業では、死亡者数は3人となっており、前年同期に比べて4人増加している。
- 建設業では、死亡者数は2人となっており、前年同期と同数となっている。
- 運輸業では、死亡者数は1人となっており、前年同期に比べて1人増加している。
- 林業では、死亡者数は3人となっており、前年同期に比べて2人増加している。
- 第三次産業では、死亡者数は1人となっており、前年同期と同数となっている。
<事故の型別発生状況>
全産業において、事故の型別の死亡者数が最も多いのは「飛来・落下」と「はさまれ・巻き込まれ」で、それぞれ3人となっている。以下「交通事故」で2人、「墜落・転落」、「転倒」、「崩壊・倒壊」でそれぞれ1人となっている。
(照会先)高知労働局労働基準部安全衛生課
酸素欠乏症等の災害防止の徹底について
今般、厚生労働省(安全衛生部労働衛生課)は酸素欠乏症又は硫化水素中毒(以下「酸素欠乏症等」という。)の災害発生状況について分析した結果と平成18年に発生した酸素欠乏症等の発生事例をとりまとめた。平成18年に発生した酸素欠乏症等の災害の特徴としては、3人もの労働者が二次災害によって死亡したこと、窒素ガス等無酸素気体を使用する事業場において当該ガスによって酸素が置換され酸素欠乏空気が発生したことによる災害が全体の過半数を占めること等を受け、平成19年6月18日付で酸素欠乏症等の防止対策の徹底を都道府県労働局に指示した。これによると、酸素欠乏症等防止規則に定めるところにより、救助しようとする者に空気呼吸器等を確実に使用させる等二次災害防止対策を徹底すること、各種無酸素気体の性質及び当該気体による酸素欠乏の危険性等について教育を徹底することなどが指示されている。
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なくそう酸素欠乏症・硫化水素中毒
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デスクマットの抗菌剤による健康被害の報告について
厚生労働省
平成19年6月29日、厚生労働省(医薬食品局審査管理課化学物質安全対策室)はコクヨの子会社「コクヨS&T(株)」(本社・大阪市)製のデスクマットの一部でアレルギー性接触皮膚炎を発症した事例が相次いでいると発表した。これまで計800件の皮膚炎の被害が報告されており、接触部分が赤く腫れるような重篤な事例は55件。マット「デスクマット軟質(非転写・抗菌仕様)」。原因は、製品に含まれる有機抗菌剤と見られる。累計販売枚数は、353,410枚
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化学物質による災害発生事例について
厚生労働省
平成19年7月18日、厚生労働省(安全衛生部化学物質対策課)は平成18年に発生した化学物質による中毒等の災害のうち災害予防の参考となる一部の事例を取りまとめ掲載した。
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平成19年度全国労働衛生週間実施要綱が決定
厚生労働省
厚生労働省は平成19年7月○○日に、本年度の全国労働衛生週間の実施要綱を決定し、発表した。同週間は本年で第58回を迎え、10月1日から10月7日までを本週間、9月1日から9月30日までを準備期間としている。本年度は、「こころにゆとり からだに余裕 みんなでつくる 健康職場」をスローガンとし、労働衛生意識の高揚と労働衛生管理活動の推進を求めている。
相談員の窓
日本人と過労死
基幹相談員 坪崎 英治(高知検診クリニック院長)
五月半ばの日経新聞の報道によると、厚生労働省の職業病認定対策室が発表した昨年度の過労死と過労自殺の認定死者数は依然として多くも147人と66人であり、特に過労自殺の方は過去最高であるとしています。死亡には至らないが過労が起因とされた健康障害で労災認定された数は938人であり、これまた過去最高ということでした。
過労とはなにを指すか、現在では過重労働という言葉を用いますが、仕事の質や内容よりも一ヶ月に80時間以上残業するような長時間労働を意味するようになりました。
毎日の時間外労働が1.5時間以上越える状態が長時間続くと血圧上昇が起こり、その結果脳および心臓に障害が生じ、最悪の場合死に至る事もあるという医学的調査研究論文が多数発表されていることが裏づけとなっています。
過労死の多い職業は運転職、プログラマーや医師などの専門職、警備員、管理職、事務職などと言われています。
日本人と過労死は以前から縁が深く、この過労死という言葉は勿論日本語ですが、欧米ではそれに適した訳語が無いこともあって、そのまま世界共通語として通用しているほどです。昔から伝統的に長時間労働が風習としてあり、また日本人は働くことを生活の中心に据えてきており、勤労は美徳であり、二宮尊徳のような働き者は広く社会の尊敬を集めていました。こういった社会風潮が過労死の多発に繋がっているのでしょう。
平成18年4月に国は労働安全衛生法を改正し、過重労働による健康障害防止対策を発足させました。長時間労働の防止と、産業医による面接や診察による健康障害の早期発見と早期対策を主な柱にしています。しかし昨年度の実績では実効あるものとはまだ証明されていないようです。
また、過労自殺が最多でありましたが、「労働環境は依然厳しく、求められる仕事量は増えているのに職場のサポート力が不十分で社員が過労自殺に追い込まれている」と国は分析しています。日本は自殺大国で、この八年間連続して毎年三万人を大分超える人達が亡くなっています。世界の中ではロシアやハンガリーと並んで多発国で米英と比べると2~4倍もの差があります。国内でみると東北地方が多発県で、関西地方とは2倍ぐらいの差があります。何か共通点はあるのでしょうか。
自殺者の多くは高齢者、無職の人々ですが、30%ぐらいは若壮年の働き盛りの人々が含まれています。原因の分析では健康問題、経済生活問題、家庭問題などが多いようですが、自殺者の多くには鬱病が介在していると言われています。
国は平成18年6月には自殺対策基本法を成立させて、メンタルヘルス対策の充実や雇用対策などを図っていますが、これも急な効果はやはり難しいものがあるようです。
少子高齢化社会の到来とともに、働く人の数を確保するという名分のもとに、対策は急ピッチで出されていますが、私達も国だけに任せるのではなく、自分たちの身近な問題として意識を高め、周りに気配りをし、相互に助け合う社会的支援をしっかりやっていきませんか。
産業保健Q&A
【Q1】
派遣労働者の健康診断は、派遣元・派遣先のどちらが行うのか。
【A1】
雇い入れ時及び定期健康診断(一般健康診断)については、労働者派遣法に特段の定めがなく、雇用主である派遣元事業主に実施義務がある。一方、有害な業務(労働安全衛生法施行令22条)に従事する者に対する特殊健康診断については、労働者派遣法によって派遣先事業主のみに実施義務が課せられており、派遣元事業主にはない。なお、特殊健康診断の結果については、派遣先事業主が健康診断個人票を作成する必要があり、その上で、健康診断の結果を記載した書面を作成して派遣元事業主に送付しなければならない。健康診断の結果、異常所見があると判定された場合は、一般健康診断については派遣元事業主が、特殊健康診断については派遣先事業主が、医師等の意見を聴取する必要がある。その結果、作業転換等が必要な場合は派遣元及び派遣先事業主の双方に措置義務がある。
【Q2】
安全衛生教育は、パートタイム労働者や臨時社員などの非正規社員に対しても必要か。
【A2】
労働安全衛生法では、事業主に対し、労働者を雇い入れた時及び作業内容を変更したときに、従事する業務に関する安全衛生教育を行うことを義務付けている。その対象となる労働者は、正社員だけでなく、パートタイム労働者や臨時職員も含まれ、外国人労働者や派遣労働者も含まれる。なお、教育の内容については、8項目が定められており(労働安全衛生規則35条1項)、製造業、建設業などが定められた業種(労働安全衛生法施行令2条1号・2号)以外の事務作業などでは省略できるものもある。また、「作業内容の変更」とは異なる作業に転換したとき、作業設備、作業方法等に大幅な変更があったときとされている。(昭47.9.18基発602号)。