メールマガジンバックナンバー

こうちさんぽメールマガジン第44号

2010.4.15

新年度のご挨拶

新年度を迎えて

高知産業保健推進センター所長  大原 啓志

新年度を迎えて、日頃の当センターへのご支援、ご協力に対して、あらためてお礼を申し上げます。年度が変っても、職場の就業環境や産業保健の課題は、依然として厳しい状況が予想されます。当センターとしても、より一層、本県の特性に沿った実践的な事業の実施に取組んでまいります。
ところで、当センターの事務所は、すでにご案内のように6月下旬に移転することになりました。現事務所とは距離的に近く、電話などの連絡方法には変更がありません。また、研修・会議等は、原則として事務所と同じビル内で実施する予定です。ますますのご利用をお願いいたします。
新年度の事業については、メンタルヘルス対策支援センター事業の拡充、窓口相談・研修の充実、ビデオ・DVDの貸出中止に伴う活用促進などに、重点的に取組んでまいります。
メンタルヘルス対策支援センターは、平成20年度より当センター内に設置され、事業場訪問による相談対応など、利用事業所の高い評価をいただいております。本年度は、相談員の増員で体制が拡充され、事業内容として新たに管理監督者の教育研修が加わりました。
窓口相談、研修については、相談の受付機会や研修・交流会の開催回数の増加など、より利用しやすい実施を目指します。とくに研修については、テーマを増やすとともに、高知地区以外の会場での開催を計画しました。また、職場関係者間の情報・意見交換の場として、職場メンタルヘルス交流会に加えて、精神科医・産業医ネットワークと産業保健交流会の実施を予定しています。
ビデオ・DVDについては、著作権との関連などもあって、昨年度から貸出が中止となりました。開設以来、非常に利用の多かった事業であり、多大のご不便をおかけしています。ただし、センターでの視聴や、職場等での当センターの研修を兼ねた利用は可能です。ビデオ活用の研修にも積極的に取組みますので、気軽にご相談ください。
事業等については、本年度も本誌「こうちさんぽニュース」をはじめ、ホームページ、メールマガジン、さらには、別添の「研修計画」などでお知らせします。ご参照の上、ますますのご利用、ご支援を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

事務所の移転について(お知らせ)

前回もお知らせいたしましたが、当センターは、平成22年度に事務所を移転することになりました。
新事務所は、旧事務所より面積が狭隘なこと、事務所内に研修室も無いこと等、当センターをご利用いただいております皆様に大変ご迷惑をお掛けすることと思いますが、何卒、今後とも当センターをご利用いただきますようお願いいたします。
なお、研修室については、現在の研修室より若干狭いですが、移転先ビル内の会議室をお借りする予定となっていますことを申し添えます。

    1. ビル名  高知フコク生命ビル
    1. 所在地  高知市本町4-1-8高知フコク生命ビル7階(四国電力高知支店の東隣)
    1. アクセス 土佐電 高知城前電停 徒歩1分
    1. 移転時期 平成22年6月19日(土)・20日(日)予定
    1. 業務開始 平成22年6月21日(月)

労働衛生工学シリーズ

労働衛生工学担当相談員 門田 義彦

MSDSを活用しよう

みなさん、MSDSを知っていますか?作業現場では、塗料や洗浄剤など化学物質を含んだ製品が、広く取り扱われています。MSDSは、こういった製品を購入したときについてくる書類です。この書類には、製品の危険性や有害性などの情報が記載されています。化学物質を含んだ製品を取り扱う現場では、MSDSを利用して、リスク管理をしましょう。

MSDSとは?

MSDSとは製品安全データシート(Material Safety Data Sheet)とよばれるものです。この制度は、国際的に広く取り入れられており、ヨーロッパではSDS、中国ではCSDSとよばれています。日本では、「労働安全衛生法」や「PRTR法(化学物質排出把握管理促進法)」及び「毒物及び劇物取締法」でMSDSを作成しなければならない化学物質を定めています。この化学物質を含む製品を製造したり輸入したりするメーカーは、MSDSを作成しなければなりません。
そして、メーカーはユーザー(事業者)に製品を譲渡・提供する際に、MSDSを渡すことが義務づけられています。譲渡・提供ですから、有償で販売する場合の他に、無償で渡す場合も含まれます。なお、MSDSの提供の方法は、書面のほかにユーザーの同意があれば、磁気ディスクやインターネット上での掲示も認められています。
MSDSには、製品に含まれている化学物質の危険性や有害性などの情報が記載されています。記載事項は、法律によって異なりますが、JISZ7250に示されている事項を記載すれば、すべての法律を満足します。

JISZ7250-2005に示されているMSDSの記載事項

    1. 化学物質等(“製品”)及び会社情報
    1. 危険性有害性の要約
    1. 組成及び製品情報
    1. 応急措置
    1. 火災時の措置
    1. 漏出時の措置
    1. 取扱及び保管上の注意
    1. 暴露防止及び保護措置
    1. 物理的及び化学的性質
    1. 安定性及び反応性
    1. 有害性情報
    1. 環境影響情報
    1. 廃棄場の注意
    1. 輸送上の注意
    1. 適用法令
    1. その他の情報

また、最近ではGHS(化学品の分類及び表示に関する世界調和システム)といって、化学物質を含んだ製品の危険性有害性の種類と程度を、世界的に統一したルールに従って分類し、これらの表示を一目でわかる絵表示で、製品ラベルやMSDSに示すようになっています。

MSDSを利用しよう

MSDSを利用して、職場の安全衛生に役立てましょう。事業者は、化学物質を含む製品を、作業者に取り扱わせる場合には、製品の危険性や有害性等を正しく把握・評価し、その低減措置を講じなければなりません。また、現場で取り扱う作業者に対しては、危険性有害性を説明する責任があります。こういった安全衛生活動の手順にリスクアセスメントがあります。リスクアセスメントなどを行う際には、MSDSを有効に活用しましょう。
具体的には、以下の事項を検討する際に、MSDSの活用が必要となります。

    1. 有害性危険性の把握・評価
    1. 代替原料の検討
    1. 作業工程の検討
    1. 使用する職場での安全衛生設備(局所排気装置等)の能力の検討
    1. 取扱上のルール(安全作業手順等)の策定
    1. 作業者が使用しなければならない安全衛生保護具の検討
    1. 非常時(火災や漏出時)の対応策の検討
    1. 作業者への説明や教育
    1. 適用される法令の確認

このようにMSDSには、安全衛生対策を検討する上で重要な情報が記載されています。しかし、法令や科学的知見は、変更される場合があります。これにしたがって、MSDSも改訂されています。取り扱っている製品のMSDSは、常に最新の版を保管するように心がけましょう。もし手元に最新のMSDSがない場合は、製品の販売店やメーカーに請求してください。
また、MSDSは、作業現場に保管するなど、作業者がいつでも見ることができる状態にしてください。ただ、MSDSは専門用語で書かれているため、現場では敬遠されて、読まれていないのも事実です。理解を深めるために、取り扱っている製品のMSDSの勉強会を開いたり、わかりやすく書き換えたものを掲示したりするなどの工夫をしてください。
以上のとおりMSDSは化学物質を含んだ製品の危険性有害性を記載した重要な書類です。ファイリングしたMSDSを、キャビネットの奥深くに眠らせてしまうことなく、現場で有効に活用するようにしてください。

トピックス

治療装置の装着体験方式による「産業医学研修会」を開催

平成22年2月13日(土)高知鏡川病院睡眠医療センターにおいて「睡眠時無呼吸症候群~最近の知見と診療の実際~」をテーマとする産業医学研修会を開催しました。

「メンタルヘルス対策・自殺予防セミナー」を開催

平成22年2月16日(火)サンピアセリーズにおいて中央労働災害防止協会高知県支部・(社)高知県労働基準協会連合会との共催による「メンタルヘルス対策・自殺予防セミナー」を開催しました。

メンタルヘルス対策支援センター事業のご案内(厚生労働省委託事業)

この事業は、メンタルヘルス対策への助言、相談機関の利用促進、職場でのメンタルヘルスケア向上を目的として、平成20年度から当センターにおいて事業を実施しています。
従業員の心の健康対策への取り組み方法が分からないという経営トップのみなさま、メンタルヘルス対策支援センター・メンタルヘルス対策相談員・促進員がお手伝いします。お気軽にご相談ください。

たとえば、こんなご相談に応じます

  • メンタルヘルス対策をどうすれば良いのかわからない。
  • メンタルヘルス不調と思われる者がいるが、どう対処すれば良いのか。
  • 職場復帰させるにはどうすれば良いのか。コミュニケーションをどうとれば良いのか。
  • 社内でメンタルヘルス対策に対する体制を作りたいが、どうすれば良いのか。
  • メンタルヘルスについて、従業員に理解してもらうために、どんな方法があるのか。
  • 社内スタッフへの教育・研修はどうすれば良いのか。
  • 労働者・家族からの問い合わせ  などなど

相談員等の体制

  • 相談員  5名 → 平成22年度予定:6名(1名増員)
    (精神科医 2名、産業カウンセラー 3名 → 4名)
  • 促進員  1名 → 平成22年度予定:4名

事業実績(2月末現在)

  • 訪問件数 :35件
  • 支援件数 :32件
  • 相談件数 :80件

説明会等の開催状況(2月末現在)

  • 開催数:16回
  • 参加事業場数:777事業場
  • 参加人数:1,063名

対面、電話、FAX、メールによりご相談に応じます。また、事業場を訪問して、メンタルヘルス対策の実施について専門家がアドバイスします。
全て無料です。お気軽にご相談ください。

【お問合わせ先】
メンタルヘルス対策支援センター(当センター内)
〒780-0870 高知市本町4丁目2番40号 ニッセイ高知ビル4階
TEL・FAX:088-855-3061(メンタルヘルス対策支援センター専用)
Eメール:mental@kochisanpo.jp

各種助成金のご案内

小規模事業場産業保健活動支援促進助成金

    1. 労働者数50人未満の小規模事業場の事業者が、他の事業者と共同(申請は単独の事業場で可能)して産業医の要件を備えた医師を選任・契約し、職場巡視、健康診断の結果に基づく保健指導、長時間労働者への面接指導、健康教育、健康相談等の産業保健活動を実施した場合、その費用の一部を3年間にわたって助成する制度です。
    1. 産業医を選任すると、以下のようなメリットがあります。
      ア.産業医の活動により、
      (ア)職場巡視による作業環境の改善
      (イ)健康診断結果に基づく適切なアドバイスによる健康管理
      (ウ)長時間労働者への面接指導による健康障害防止対策
      等が進展します。
      イ.これらの結果、
      (ア)健康に対する意識が向上
      (イ)職場の快適感が向上
      (ウ)健康診断受診率が向上
      (エ)生活習慣病関係因子が改善
      等の効果が期待できます。
    1. 助成金支給額
      ア.産業医による産業保健活動1回当たり21,500円
      イ.各年度最高4回
      ウ.21,500円×4回=86,000円が上限です。
    1. 受付期間
      受付期限は7月末(登録初年度)までです。
      お早めにお申込ください。

自発的健康診断受診支援助成金

深夜業(午後10から午前5時)に従事した方(勤務した時間の一部が深夜時間帯にかかる方も含まれます。)が、事業主の行う定期健康診断以外に労働者個人の意思で健康診断(人間ドックも可)を受けた場合に、健康診断に要した費用の3/4に相当する額(上限7,500円)が助成されます。

助成金支給対象者

    1. 常時使用される労働者(1週間の労働時間が通常の労働者の所定労働時間数の3/4以上の方も含まれます)
    1. 自発的健康診断を受診する日前6ヶ月の間に1ヶ月当たり4回以上(過去6ヶ月で合計24回以上)深夜業に従事した方
    1. 今年度にこの助成金の支給を受けたことがない方

※1 深夜業とは、午後10時から翌日の午前5時までの間における業務をいいます。勤務時間の一部
でも午後10時から午前5時までの時間帯にかかる場合は「深夜の業務」があるとします。交替制
等の勤務の形態は問いません。
※2 国の直営事業、官公署の事業等の労働保険非加入事業場に係る労働者は対象となりません。
※3 法令に基づく定期健康診断に置き換えることはできません。

「ホームページリューアル」のお知らせ

当センターでは、ご利用の皆様の、利便性を図るために、ホームページリニューアルを行いました。下記の内容です。

    1. 相談受付
    1. メルマガの配信申込
    1. 研修支援の申込

以上3点が新しく利用できますので、お気軽にご利用下さい。
又、表紙も見やすくリューアル致しました。

窓口相談のご案内

各分野の専門の相談員が、産業保健に関するご相談・お問い合わせ等について応じます。
相談方法は、センターに直接来ていただくか、又は電話、FAX、メール、4月からはホームページからもご相談いただけます。
また、相談内容等により必要と判断する時は、直接現地に出向き具体的な対処法等をご提案します(作業環境測定等)。
なお、相談料は無料となっていますので、お気軽にご相談ください。

相談事例

質問: 従業員が定期健康診断で要精査の指示を受けたが受診しない。事業所としては、放置できないと考えているが、どうすれば良いか。ちなみに、産業医は選任していない。
回答: 制度上は、最終的に「異常所見」が認められた場合に、就業上の措置の必要性(今の仕事を続けていて大丈夫か)について産業医の判断が必要となる(産業医の意見聴取)。必要と判断された場合は、事業主は産業医の意見を尊重して就業上の措置や作業環境等の改善を行わなければならない(健診実施後の措置)。相談例では、その判断のための資料が得られないことになり、本人の健康保護のためだけでなく、これらの事業主の責務についての説明を加えて、精密検査を受けてほしい旨働きかけてみてはどうか。精査の結果「異常所見」が認められた場合は、受診医療機関の医師から措置の必要性に関する指示をもらう。文書で記録を残しておく必要がある。また、これらの、医師との連絡にあたっては、本人の同意を得ておく必要がある。
健診結果の連絡等における情報保護については、組織内で健康情報管理者としての位置づけ(担当者の職名など)及び、当該管理者が職務上知りえた健康情報の漏洩禁止について規定をつくり、従業員に周知しておくことが望ましい。また、就業上の措置を要する場合、事業者等へは病名そのものの情報は提供しないこととされている。

お問い合わせ先:高知産業保健推進センター
TEL:088-826-6155
FAX:088-826-6151
Eメール:info@kochisanpo.jp
ホームページ:http://www.kochisanpo.jp/

ご相談・ご要望を受け付けています。

ご利用時間:午前8時30分~午後5時15分(土・日曜日・祝祭日、年末年始除く)

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