こうちさんぽメールマガジン第46号
トピックス
熱中症を防ごう
炎天下での屋外や屋内の熱源近くなど、暑熱環境のもとでの作業では、適切な水分補給や休憩などを行わなければ、労働者が熱中症を発症するケースがあり、とくにこれからの季節、熱中症の予防は企業の衛生管理担当者や管理監督者にとって重要な課題であります。
そこで今回は、労働現場での熱中症の予防対策について説明いたします。
職場における熱中症のリスク
職場は、スポーツのような強度の高い身体活動を行うことは希であるが、
- 炉や内燃機等の発熱体の存在等により外気よりも暑くなる場合がある
- 作業によっては保護衣や保護具をはじめとする装備が必要となる
- 自らの意思で休憩を取りにくい、という特徴がある。
職場における熱中症の発症に関係の深い危険有害要因(ハザード)には、作業環境に係る要因として、高温、多湿、輻射体(太陽や高温物体)の存在、無風(または微風)がある。また、作業に係る要因として、身体負荷の高い作業、長い作業時間、透湿性および通気性の悪い作業服、安全衛生保護具の着用等がある。労働者の個人的要因や組織的要因も加えて、熱中症の発症リスクが高い状態を労働衛生管理(3管理と教育、体制)に対応させて分類すると表1のように整理できる。リスクの有無、大きさは日々変化するので、毎日作業日当日の天気予報をチェックすることはもちろん、作業計画・製造工程の変更時や新規設備の導入時等に熱中症のリスクが発生・増大していないかを確認することが管理監督者等に求められる。また、労働者の健康状態もリスクを高める要因なので、産業保健スタツフ等は、保健指導時の面談や健康相談等を通じ、リスクの見逃しがないように注意する必要がある。
法令に基づく熱中症の予防対策
労働安全衛生規則等の労働関係法令では、
- 暑熱または多湿の屋内作業場、
- 多量の高熱物体を取り扱う業務および著しく暑熱な場所における業務、
- 多量の発汗を伴う作業場などの高温環境での作業、
について規制が設けられている。1.については半月以内ごとに1回作業環境の測定(労働安全衛生規則:以下「安衛則」587条等)などが、2.については労働時間延長の制限(労働基準法施行規則18条)や、健康診断の実施(配置替え時と半年以内ごとの1回)(安衛則45条)などが規定されている。また、3.については塩と飲料水を備えることとされている(安衛則617条)。
作業環境管理 | ・温度が高い・湿度が高い・輻射熱が大きい・涼しい風がない・日陰の涼しい休憩場所がない |
作業管理 | ・身体負荷が大きい・連続作業時間が長い・休憩頻度が少なく時間が短い・日陰に入ったり上着を脱いだりといった避暑行動をとりにくい・水分や塩分が補給しにくい・服装の吸熱性が高く通気性や水分の透過性が悪い・保護具の着用が必要である |
健康管理 | ・暑さに慣れていない・水分や塩分の摂取量が不足している・皮下脂肪が厚い・年齢が高い・心臓、脳等の持病がある・発熱している・下痢や脱水がある・発汗や体温調節を障害する薬(パーキンソン病治療薬、抗てんかん薬、抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬、抗不整脈薬等)を内服している・塩分摂取を制限されている |
労働衛生教育 | ・作業者、管理監督者が熱中症の知識に欠け対策を知らない |
労働衛生管理体制 | ・暑熱環境の測定をしていない・職場を巡視していない・管理監督者が作業者の体調を把握していない・休憩場所が整備されていない・救急体制がない |
上記の内容は中央労働災害防止協会発行「安全と健康5号」に掲載
平成21年度自殺対策強化のための基礎資料公表
内閣府
自殺リスクの要因分析(清水内閣府本府参与)
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平成21年地域における自殺の基礎資料(内閣府自殺対策推進室)
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人口動態統計に基づいた自殺の特徴に関する分析(厚生労働省)
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平成21年労働災害動向調査結果の概況
厚生労働省
「消防機関における新型インフルエンザ対策検討会報告書」の公表
総務省消防庁
事務所移転のお知らせ
今月19(土)・20(日)に予定どおり下記のビルに引越しいたしますので、お知らせします。
なお、19(土)・20(日)はFAX・メール等は使用できません。
- ビル名 高知フコク生命ビル
- 所在地 高知市本町4-1-8高知フコク生命ビル7階(四国電力高知支店の東隣)
- アクセス 土佐電 高知城前電停 徒歩1分
- 電話・FAX 変更ありません
- 業務開始 平成22年6月21日(月)
相談員の窓
チェーンソー以外の振動工具の取扱業務に係る振動障害予防対策について
特別相談員 田内孝也
皆様方の事業場で使用する振動工具の適切な取扱い及びその振動工具を使用することによって生じる恐れのある振動障害等の予防措置は、昭和50年10月20日付け基発第608号及び別添指針に基づき実践されてきましたが、昨年7月10日付け基発0710第2号通達に伴い前述の基発第608号は廃止されました。この度の通達では、工具の発する振動の周波数、振動の強さ、振動ばく露時間による手腕への影響を評価した振動障害予防対策を講じることが有効であるとの見解から、「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」と「振動ばく露時間」により、「日振動ばく露量A(8)」と言う数値を求め、その数値に基づき作業時間を適切に管理し、振動障害を予防することとしています。
要するにポイントは、「日振動ばく露量A(8)」と言う数値を求めることであり、この数値により振動ばく露時間の抑制、工具の選定等による予防措置を検討します。
ここで、聞きなれない名称、難しそうな算式、複雑な図表を目前にすると何だかうんざりしてしまいそうです。でも、決してうんざりしないで頂きたい。じっくりと対処すれば、そんなに難しくもなさそうです。
まず、使用する振動工具の本体に製造元が表示した「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」(表示が無い場合は取扱説明書、製造元のホームページ等で検索可能)を確認し、後はあらかじめ決められた√の算式に従って値を求めます。そして、求めた数値を対数表に示し、示された位置により事業者は対策を講じて行きます。
例えば、コンクリートブレーカーによるコンクリートはつり作業で、求められた「日振動ばく露量A(8)」の数値が対数表の限界値を超えていれば、
- 使用する工具を低振動のものに変更するか、作業工程を自動化、機械化により振動にばく露されない作業方法を検討する。
- 作業工程を見直し、振動にばく露される時間を短くする。
- 作業する者を複数とし、1人当たりのばく露時間を短縮させる。
等の対策を行います。
つまり、「日振動ばく露量A(8)」の数値によりリスクレベルが示される訳ですから、そのリスクレベルに応じた振動障害予防措置を計画段階で検討することができると共に対数表の数値に従い合理的な予防措置の選択が可能となります。
従って、作業を行う者に対し、具体的な作業計画(使用工具、使用時間、使用人員、使用方法等)、作業手順(作業のステップごとに、急所及び留意点を示したもの)を打合せ段階で周知することができ、振動障害予防対策としての効果が期待できるものです。
企業内の衛生又は安全管理の業務に携わる皆様方には、この機会に積極的な振動障害防止へのお取組みを頂きまして、結果予見、結果回避への熟慮をお願い申し上げます。
メンタルヘルス対策支援センター事業のご案内
(厚生労働省委託事業)
当センターでは、4月より相談員5名・促進員5名の新しい体制で、職場のメンタルヘルス対策を支援いたしますので、ご利用下さい。対面、電話、FAX、メールによりご相談に応じます。また、事業場を訪問して、メンタルヘルス対策の実施について専門家がアドバイスします。
全て無料です。お気軽にご相談ください。
【お問合わせ先】
メンタルヘルス対策支援センター(当センター内)
〒780-0870 高知市本町4丁目2番40号 ニッセイ高知ビル4階
TEL・FAX:088-855-3061(メンタルヘルス対策支援センター専用)
Eメール:mental@kochisanpo.jp (同上)
相談・問い合わせQ&A
産業保健に関するご相談・お問い合わせ等について、各分野の専門の相談員がお答えします(産業医学・労働衛生工学・メンタルヘルス・カウンセリング・保健指導・労働衛生関係法令)。
相談方法は、センターに直接来ていただくか(予約可)、又は電話、FAX、メールでも対応しています。
各相談員の勤務日は決まっていますが、勤務日以外でもご相談をお受けいたします。
それでは、実際に寄せられたご相談を紹介します。
Q: | 大型車体の塗装作業場で、有機溶剤の作業環境測定結果が、第2管理区分となったため、改善策を検討している? |
A: |
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産業保健に関する質問であれば、どんな事でも構いません。
お気軽にお問い合わせください。
相談料は無料です。
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貸出図書・DVD・機器のご案内(貸出:無料)
図書・DVD(センター実施研修会)・研修会等用機器(作業環境測定用・研修用)を無料で貸し出しています。
なお、作業環境測定用機器については、精度管理を実施していませんので、測定された数値は保障できませんのでご了承ください。
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