メールマガジンバックナンバー

こうちさんぽメールマガジン第47号

2010.7.1

トピックス

第69回全国産業安全衛生大会

平成22年10月6(水)~8日(金)に、福岡市おいて開催される第69回全国安全衛生大会が中央労働災害防止協会より示されました。(中央労働災害防止協会)
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第17回日本産業精神保健学会

平成22年7月16日(金)~17(土)に、金沢市において第17回日本産業精神保健学会が開催されます。
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定期健康診断の有所見率

本年3月に厚生労働省から「定期健康診断の有所見率の改善のための取組」に関する通達が3本出されました。
これは、平成20年度を初年度とする第11次労働災害防止計画において初めて目標に上げられた「労働者の健康確保対策を推進し、定期健康診断における有所見率の増加傾向に歯止めをかけ、減少に転じさせる」と関係があります。
本年度は上記5か年計画の中間年であり、過去2年間の取組成果がはっきりしないため、取組を強化することとしたものです。有所見の中で、血圧、血糖値、LDLコレステロール値と肥満度は、脳・心臓疾患を発症する元となるリスクファクターであり、有所見率の改善は過重労働による健康障害防止対策としても重要です。
今後、衛生委員会での審議状況、衛生管理者や産業医をはじめとする産業保健スタッフの活動状況といったことについて、労働基準監督署の立入調査で重点的にチェックされることとなりそうです。

相談員の窓

産業医学の専門性

高知大学教育研究部医療学系教授 産業医学担当相談員 菅沼成文

産業医学を専門にする大学の教員としては、何が産業医学の専門性かということはかなり重大な問題です。他の科の先生がこれは産業医学の専門医に紹介したほうがいいな、というのはどういう問題かということです。また、職場での産業保健活動を頼む側から考えると、どのような医師が職場の産業医としては望ましいかということにも関わってくるでしょう。

産業医の資格要件としては、厚生労働省が認める産業医学基本講座の修了者、日本医師会認定産業医、労働衛生コンサルタント資格を持つ医師、大学の産業医学担当講座の常勤講師以上の経験のある者が挙げられていますが、これは最低ラインの要件ということで、産業医の選任には支障ないでしょう。しかし、この中で資格試験を行なうのは労働衛生コンサルタントのみです。本来、専門医制度というのは学会に所属する医師が一定の修練を経て認定されるもので、日本産業衛生学会産業衛生専門医というものがあり、かなり厳しい試験が課せられていますが、実情では産業医選任のための要件にも含まれていません。このように産業医としての資格要件を満たしているというだけでは、産業医としての専門性を発揮できる人かどうかはわからないのです。

我が国では産業医学科は標榜科としては認められていませんが、独自に産業医学科や職業病外来などのクリニックを開設している病院や診療所が存在します。高知県にもじん肺や振動病の患者の健康管理を熱心に行っている医療機関が存在します。このような外来部門を持っていると他科の医師としては、紹介先として認識しやすいと思われます。

このような外来で対応できるのは、じん肺、振動病、騒音性難聴、化学物質による健康障害、頚肩腕症候群、職業性腰痛、などの職業病・作業関連疾患ですが、それぞれの疾患については重症度によっては当然、他の専門医への紹介が必要となるものも含まれます。化学物質過敏症などの現在、十分には解明されていない病態についても、患者の蓄積がなされていくことで、標準的な治療・健康管理がなされるようになるでしょう。

さて、このような産業医学に関わる疾患というのは、じん肺、振動病、騒音性難聴、化学物質中毒のように特徴的な病態を示すものもありますが、作業関連疾患などは私傷病と症状、病態だけでは区別がつかないものもあります。これは産業医学が社会医学に含まれる所以であり、同じ病態が見方によっては作業起因性があるということになり、普通の医師にとっては理解しにくい点になります。我が国のように国民皆保険制度が敷かれているところでは、敢えて労災保険を使わなくても治療可能ですが、米国のように健康保険でカバーされていない人が多い国では、労災保険による治療が非常にたくさんあり、産業医学外来も結構はやっています。我が国で健康保険の自己負担が増えた場合には、労災保険を活用して治療というのが標準的になってくるかもしれません。

先日、米国のウェストバージニア大学の産業医学科の医師と話をしたところ、産業医学科の外来を訪れる患者の多くが慢性疼痛を主訴にしている患者だと教えてくれました。英国には慢性疼痛の管理を主に行う内科的整形外科医が多いのだけれど、米国にはそのような専門家はいないので、産業医が慢性疼痛管理を行っているのだと言っていました。そのほかは、就業時の健診、復職時の外部医師による評価、通常の定期検診を行っているとのこと。なお、メンタルヘルスについては、重要な問題ではあるけれど、ここの産業医学科では対応しないことにしていると話していました。したがって、復職時の判定は主に身体的な傷病によるものについてのみだそうです。少し、うらやましい気もするとともに、日本ではニーズに合わないなと思いました。

閑話休題
最初の問いに帰ってみましょう。なにが産業医の専門性なのか。産業医は、まず、医学の基本的なことを知っている必要がある、つまり、ジェネラリストとしての医師である。そして、労働安全衛生法に基づく会社における産業保健の仕組みを知っている。職業病、作業関連疾患の管理方法を知っている。ということになるのでしょうか。これらの専門性の度合いによって、産業医として契約するのに望ましい医師であるかどうかの判断ができると思います。

メンタルヘルス対策支援センター事業のご案内

(厚生労働省委託事業)

前年度に引き続き、平成22年度の厚生労働省委託事業として、個別のメンタルヘルス不調事案についてのメンタルヘルス不調の予防から職場復帰支援までのメンタルヘルス対策全般について対応する総合相談窓口としての機能を果たすとともに、事業場に対するメンタルヘルス対策の周知や同対策構築のための個別支援、事業場の職場復帰支援対策への助言、事業場、相談機関、医療機関等関係者間のネットワーク構築等の職域におけるメンタルヘルス対策についての幅広い支援機能を担うこととなりました。メンタルヘルスに取り組んでいない事業場のその主な理由として、「専門スタッフがいない」及び「取り組み方が分からない」が挙げられていますので、事業者の取り組みに当たっては当センターを是非ご利用ください。新たに、事業場の管理監督者等に対し、「労働者の心の健康の保持増進のための指針/厚生労働省作成」に定められている管理監督者の役割や「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰の手引き」に基づく管理監督者の取組事項などに関する教育を1事業場に1回限り、当支援センター所属のメンタルヘルス対策促進員が行えるようになりました。
【お問合わせ先】
メンタルヘルス対策支援センター(当センター内)
〒780-0870 高知市本町4-1-8 高知フコク生命ビル7階
TEL・FAX:088-855-3061(メンタルヘルス対策支援センター専用)
Eメール:mental@kochisanpo.jp ( 同上 )

相談・問い合わせQ&A

産業保健に関するご相談・お問い合わせ等について、各分野の専門の相談員がお答えします(産業医学・労働衛生工学・メンタルヘルス・カウンセリング・保健指導・労働衛生関係法令)。
相談方法は、センターに直接来ていただくか(予約可)、又は電話、FAX、メールでも対応しています。

各相談員の勤務日は決まっていますが、勤務日以外でもご相談をお受けいたします。
それでは、実際に寄せられたご相談を紹介します。

Q: デジタル粉じん計の測定時間は?
A: 「職場の空気環境の測定方法」では、「1回の測定につき、1分間で連続10分間以上測定する」こととしています。したがってデジタル粉じん計の測定モードを1分間として、10回以上測定してください。

産業保健に関する質問であれば、どんな事でも構いません。
お気軽にお問い合わせください。
相談料は無料です。
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貸出図書・DVD・機器のご案内(貸出:無料)

図書・DVD(センター実施研修会)・研修会等用機器(作業環境測定用・研修用)を無料で貸し出しています。
なお、作業環境測定用機器については、精度管理を実施していませんので、測定された数値は保障できませんのでご了承ください。
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ご相談・ご要望を受け付けています。

ご利用時間:午前8時30分~午後5時15分(土・日曜日・祝祭日、年末年始除く)

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