こうちさんぽメールマガジン第55号
新年にあたって
高知産業保健推進センター所長 大原啓志
新年おめでとうございます。
産業界を取り巻く環境は依然として厳しい年明けですが、私どもの産業保健も働く人々の健康確保、ひいては生産活動の向上により一層寄与できる年でありたいものです。
職場の健康問題では、引き続いてメンタルヘルスケアが大きな課題の一つであることを実感しています。昨年実施した調査では、高知県でも、メンタルヘルス不調者を経験した事業場が3年前に比べて増えており、調査時点で休業者がいるという事業場も12%にみられました。当センター併設の「メンタルヘルス対策支援センター」でも、相談や事業場訪問による支援などの利用は増えていますが、より利用されやすい工夫が必要ですし、当センターにもより充実した研修や情報交換の場の提供が求められていると考えます。
ところで、メンタルヘルス対策への相談や支援事例を知る中で考えさせられるのが、日ごろの職場の安全衛生活動との関係です。メンタルヘルスは、難しい、特殊な問題という印象があったり、産業保健スタッフからもできれば関わりたくないといった声も聞きます。しかし、当然のことながらメンタルヘルスも日ごろの健康管理などの対象であり、したがって、不調者への円滑な対応も、日ごろの健康管理や病休者一般の職場復帰などと密接につながっていることを多くの例で再認識させられます。また、予防を含めた組織的な対策では、何よりも衛生委員会などの、職場の衛生管理に向けての協議や情報共有による取組みが重要な役割をもちます。
そうした意味で、メンタルヘルス対策は、改めて健康管理だけでなく、職場の作業環境など衛生管理全般の体制やその活動を見直し、ひいてはより積極的な職場の安全衛生の風土づくりを目指すよい機会ともいえるのではないでしょうか。
当センターにとって、そのような職場の取組みをより多く応援できる一年であればと願っています。本年もよろしくお願いいたします。
トピックス
「事業場における産業保健活動の拡充に関する検討会」報告書
厚生労働省
厚生労働省は、平成22年11月22日、「事業場における産業保健活動の拡充に関する検討会」の報告書を取りまとめ、公表しました。
この検討会は、今年9月に厚生労働省の「職場におけるメンタルヘルス対策検討会」がまとめた報告書の中で今後検討が必要とされた項目のうち、「事業場に対する支援体制の整備」、「人材の確保」、「地域保健との連携」について、特にメンタルヘルス対策に重点をおいた検討を行ったものです。
この報告書のポイントは、
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- 事業者(専属産業医の選任義務を有する事業場の事業者を除く。)の選択肢の一つとして、メンタルヘルスの面接等、複数の産業医の有資格者が産業医の職務を実施する外部専門機関を活用できる仕組みを設ける。
- 外部専門機関は、所属する産業医有資格者等の資質の確保、医師等の間での情報共有、機関の管理者による調整や監督を担保するような一定の要件を満たすものとする。
- 外部専門機関が要件に適合し適正な業務を行っているかについて、行政が確認し、事業者に周知するとともに、外部専門機関に対して必要な指導を行うことが適当である。
- 小規模事業場においては、ストレス症状を有する者への面接等を効率的・効果的に実施するために、地域産業保健センターにおいて、メンタルヘルスに対応可能な医師・保健師の確保、医師と保健師等との連携等を進める必要がある、としていることです。
労働政策審議会においては、一般定期健康診断の機会に併せてストレスに関連する症状・不調を確認し、必要な労働者に対して医師による面接を行い、就業上の措置等が必要な場合には労働者の同意を得た上で事業者に意見を述べる新たな枠組みについて審議が行われているところですが、今後、報告書を受け、メンタルヘルスに対応できる外部専門機関の整備・育成についても議論を行っていく予定としています。
詳細については、以下の厚生労働省ホームページをご覧ください。詳細を表示
平成21年度石綿による健康被害に関する給付の請求・決定状況
厚生労働省
厚生労働省は、平成22年11月24日、石綿により健康被害に受けた方(または遺族の方)からの、労災保険などの給付の請求・決定状況について、平成22年度の確定値を公表しました(速報値は本年6月29日に公表済み)。
- 「労働者災害補償保険法」に基づく、石綿による疾病(※)の労災保険給付に関する請求・支給決定状況
- 請求件数 1,174件
- 支給決定件数 1,071件
- 「石綿による健康被害の救済に関する法律」に基づく、「特別遺族給付金」に関する請求・支給決定状況
- 請求件数 96件
- 支給決定件数 109件
(※)肺がん、中皮腫、良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚
詳細については、以下の厚生労働省ホームページをご覧ください。
職場におけるメンタルヘルス対策に関する緊急調査結果(中間集計)
(独)労働政策研究・研修機構が実施した「職場におけるメンタルヘルス対策に関する緊急調査結果」(中間集計)によると、心の健康対策(メンタルヘルス対策)に取り組んでいる事業所割合は49.7%で、平成19年労働者健康状況調査の33.6%を16.1ポイント上回りました。また、過去1年間に、メンタルヘルス上の理由により連続1か月以上休職または退職した労働者がいる事業所割合は26.2%と、平成19年労働者健康状況調査の7.6%を大きく上回りました。
今回の緊急調査は平成22年9月18日から10月5日までに15,000事業所に調査票を郵送し、10月6日までに回答のあった、3,435事業所を対象に中間的に集計したものです。
詳細な内容は、以下の厚生労働省ホームページをご覧下さい。
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各種助成金のお知らせ(終了)
深夜業従事者健康診断助成金及び産業医共同選任助成金の支給終了について
平成22年度末をもって両助成事業は終了することとなりましたので、それぞれの申請手続きについてご確認ください。申請受付期間内を過ぎると助成を受けられませんので、ご注意ください。
深夜業従事者健康診断助成金
- 助成金申請受付期間 平成23年3月18日まで(必着)
*各産業保健推進センターへの提出期間 - 助成金支給時期 平成23年3月31日まで(必着)
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メンタルヘルス対策支援センター事業のご案内
厚生労働省委託事業
お問合わせ先
メンタルヘルス対策支援センター(当センター内)
〒780-0870 高知市本町4-1-8 高知フコク生命ビル7階
TEL・FAX:088-855-3061(メンタルヘルス対策支援センター専用)
Eメール:mental@kochisanpo.jp(同上)
相談・問い合わせQ&A
産業保健に関するご相談・お問い合わせ等について、各分野の専門の相談員がお答えします(産業医学・労働衛生工学・メンタルヘルス・カウンセリング・保健指導・労働衛生関係法令)。
相談方法は、センターに直接来ていただくか(予約可)、又は電話、FAX、メールでも対応しています。各相談員の勤務日は決まっていますが、勤務日以外でもご相談をお受けいたします。
産業保健に関する質問であれば、どんな事でも構いません。お気軽にお問い合わせください。相談料は無料です。
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貸出図書・DVD・機器のご案内(貸出:無料)
図書・DVD(センター実施研修会)・研修会等用機器(作業環境測定用・研修用)を無料で貸し出しています。
なお、作業環境測定用機器については、精度管理を実施していませんので、測定された数値は保障できませんのでご了承ください。
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新年明けましておめでとうございます。本年も当センター及びメンタルヘルス対策支援センターのご利用・ご活用をよろしくお願いいたします。
職員一同