こうちさんぽメールマガジン第61号
新所長のご挨拶
高知産業保健推進センター長の就任に当って
高知産業保健推進センター所長 高橋 淳二
昭和63年6月に労働安全衛生法が改正され、産業医の資質向上がより求められるようになった。これを受けて、日医では平成2年4月から「認定産業医制度」が発足した。高知県でもこの路線に沿って研修が進められ、その結果、平成5年3月には県下で114名の認定産業医が誕生した。
一方、労働省は平成5年から「産業保健センター構想」を推進し、高知県では平成5年に高知、平成6年に須崎、平成7年に安芸、平成8年に中村と各地域産業保健センターが設立された。そして、平成13年に高知産業保健推進センターが設立され、県医師会、郡市医師会をはじめ各関係機関の活動によって事業は順調に進められていった。
しかしながら、時代の変遷と共に、センター事業のあり方が大きく変化してきた。特に政権が自民党から民主党に交代したことで財政面が大きく縮小された。とりわけ、地域産業保健センター事業が各県によって県医師会が受託するものと推進センターが受託するものとに二分された。また事業内容では、特にメンタルヘルスと過重労働に対する支援の強化が重視されるようになった。これらに加えて、このたびの東北関東大震災の勃発である。日本は大きな打撃を被った。そのため、財政面はさらに圧縮されるものと思われる。
このような流れの中で、鈴木、大原両先生の後をついで、やむなく3代目のセンター長就任である。今後はどのように事業を進めるべきか全く予測出来ないのが現状である。成り行きに任せるしかないのだろうか。
いずれにしても、事業を進めるには、より多くの人々の協力が必要であり、特に医師会との連繋が必要である。その意味で、今後は医師会とのパイプ役になることが、私の最大の任務だと思っている。そして、医師会はじめ各関係機関のご協力を得ながら、微速ではあるが、県民の健康保持のため、センター事業を推進していきたいと思っている。
皆様のご理解のもと、さらなるご支援をお願い申し上げ、就任の挨拶とします。
東日本大震災に係る電話相談の実施について
独立行政法人労働者健康福祉機構(理事長:名川弘一)では、この度の東日本大震災を受け、3月11日(金)本部(川崎市幸区)に災害対策本部を設置し、被災者の方々を支援するために、既に行っている電話相談をフリーダイヤルで実施する健康確保支援対策を決定しました。
- 0120-226-272(フリーダイヤル)平成23年3月30日(水)開設
メンタルヘルスに関する電話相談(全国共通)
相談時間は9:00~12:00、13:00~17:00(土・日・祝祭日を除く) - 0120-765-551(フリーダイヤル)平成23年4月6日(水)開設
健康相談に関する電話相談(全国共通)
相談時間は13:00~17:00(土・日・祝祭日を除く)
東日本大震災に係る健康相談窓口(メンタルヘルス含む)及び情報について(本部)
詳細を表示
※上記の電話番号は最寄りの産業保健推進センターではなく、空いている回線の推進センターにつながります。
労働衛生工学シリーズ
騒音対策について
労働衛生工学担当相談員 中西 淳一
今回は、職場の作業環境を管理する際の騒音対策についてご紹介します。
騒音対策の基本は、発生源対策として可能な限り低騒音型の機械を採用する事や、騒音の伝播経路対策として予め作業者の行動範囲を念頭に置いた騒音発生源の配置を設計段階から考慮することが重要です。しかし、旧来の設備機器の更新は多額の費用負担を伴う事から、騒音対策を耳栓や耳覆い等の衛生保護具の着用に頼ってしまっている場合が多いのではないでしょうか。
さて、騒音は空気の圧力変化が音速で伝搬される現象である事から、音響工学分野で明らかにされている空気中の音波の減衰や伝搬に関する性質等をうまく組み合わせる事により解決出来る場合があります。
代表的な騒音対策の方法を一覧にしますと下表のようになります。
表-1 代表的な騒音対策の方法
分類 | 方法 | 具体例 |
騒音発生源対策 | 発生源の低騒音化 | 低騒音型機会の採用 |
発生原因の除去 | 給油、不釣合調整、部品交換等 | |
遮音 | 防音カバー、ラギング | |
消音 | 消音器、吸音ダクト | |
防振 | 防振ゴムの取り付け | |
制振 | 制振材の装着 | |
運転方法の改善 | 自動化、配置の変更等 | |
伝播経路対策 | 距離減衰 | 配置の変更等 |
遮蔽効果 | 遮蔽物、防音壁 | |
吸音 | 建屋内部の消音処理 | |
指向性 | 音源の向きの変更 | |
受音者対策 | 遮音 | 防音監視室 |
作業方法の改善 | 作業スケジュールの調整、遠隔操作等 | |
耳の保護 | 耳栓、耳覆い |
また、吸音材料と吸音の周波数特性の関係は、下表のようになります。騒音対策として防音壁等の材質を検討する際のお役立て下さい。
表-2 吸音材料と吸音の周波数特性の関係
吸音材料 | 主な吸音領域 |
多孔質材料+剛壁(適切な表面処理を含む) | 高音域 |
多孔質材料+空気層+剛壁(適切な表面処理を含む) | 中高音域 |
共鳴構造体(多孔質材を併用する) | 低音域または中音域 |
穴あき板+多孔質材料(+空気層)+剛壁 | 中音域 |
参考書籍:
- 中央労働災害防止協会発行 労働省安全衛生部労働衛生課編 作業環境における騒音の管理
- 産業環境管理協会発行 公害防止の技術と法規 騒音編
メンタルヘルス対策支援センター事業のご案内
厚生労働省委託事業
この事業は、メンタルヘルス対策への助言、相談機関の利用促進、職場でのメンタルヘルスケア向上を目的として、平成20年度から当センターにおいて事業を実施しています。
従業員の心の健康対策への取り組み方法が分からないという経営トップのみなさま、メンタルヘルス対策支援センター・メンタルヘルス対策相談員・促進員がお手伝いします。お気軽にご相談ください。
たとえば、こんなご相談に応じます
- メンタルヘルス対策をどうすれば良いのかわからない
- メンタルヘルス不調と思われる者がいるが、どう対処すれば良いのか
- 職場復帰させるにはどうすれば良いのか。コミュニケーションをどうとれば良いのか。
- 社内でメンタルヘルス対策に対する体制を作りたいが、どうすれば良いのか
- メンタルヘルスについて、従業員に理解してもらうために、どんな方法があるのか。
- 社内スタッフへの教育・研修はどうすれば良いのか
- 労働者・家族からの問い合わせ などなど
相談員等の体制
- 相談員 5名(精神科医 2名、産業カウンセラー 3名)
- 促進員 5名
対面、電話、FAX、メールによりご相談に応じます。また、事業場を訪問して、メンタルヘルス対策の実施について専門家がアドバイスします。
全て無料です。お気軽にご相談ください。
【お問合わせ先】
メンタルヘルス対策支援センター(当センター内)
〒780-0870 高知市本町4-1-8 高知フコク生命ビル7階
TEL・FAX:088-855-3061(メンタルヘルス対策支援センター専用)
Eメール:mental@kochisanpo.jp(同上)
窓口相談のご案内
産業保健に係る相談業務の取り扱いが4月から変わりますのでよろしくお願いします。
相談業務については、昨年度まで実施してきた待機方式の窓口相談に代わり、事前予約方式による面談相談を実施することとしましたので、面談相談を希望される方は、事前に当推進センターまで電話等で予約下さるようお願いします。
また、今までの電話、メール、FAX等での相談や実地相談も受け付けておりますのでご活用下さるようお願いします。
産業保健に関する質問であれば、どんな事でも構いません。お気軽にお問い合わせください。
相談料は無料です。