こうちさんぽメールマガジン第69号
トピックス「産業保健への支援の在り方に関する検討会」報告書が取りまとめられました
当センターは、職場における産業保健活動の支援を目的として設置されているものですが、厚生労働省において「産業保健への支援の在り方に関する検討会」が設けられ、先日、同検討会の報告書が取りまとめられて発表されました。
これは、職場におけるメンタルヘルス問題が大きな課題となるなど産業保健を巡る最近の情勢に対し、国による事務・事業の見直しにより産業保健推進センターの統廃合等による運営の効率化が求められ、その結果、サービスの低下が懸念されていることから今後の産業保健推進センター等による支援のあり方について検討したものです。
現在、産業保健活動に対する支援機関として産業保健推進センターの他、メンタルヘルス対策支援センター、地域産業保健センターがありますが、同報告書ではこれらの連携・総合調整と効率的な支援の必要性がうたわれています。また、産業保健推進センターを集約された後においても、これまでと同様に当該地域の医師会等の協力を得ながら産業医等に対する専門研修等を実施するなど、現在の産業保健支援サービスが低下しないような配慮が必要であるとしています。
昨年度末、産業保健推進センターが集約された県においても連絡事務所が置かれ、従来と同様の産業保健支援サービスの実施に努めています。今後とも職場の産業保健活動の充実に当センターをご活用ください。
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平成23年10月24日 厚生労働省は、「「労働安全衛生法の一部を改正する法律案要綱」の労働政策審議会に対する諮問及び同審議会からの答申について」(労働安全衛生対策をより一層強化します)を発表した。
厚生労働省は、この答申を踏まえて法律案を作成し、臨時国会提出への準備を進める。法律案のポイントは、以下のとおり。
メンタルヘルス対策の充実・強化
- 医師又は保健師による労働者の精神的健康の状況を把握するための検査を行うことを事業者に義務づける。
- 検査の結果は、検査を行った医師又は保健師から労働者に直接通知される。医師又は保健師は労働者の同意を得ずに検査結果を事業者に提供することはできない。
- 検査結果を通知された労働者が面接指導を申し出たときは、事業者は医師による面接指導を実施しなければならない。なお、面接指導の申し出をしたことを理由に労働者に不利益な取扱いをすることはできない。
- 事業者は、面接指導の結果、医師の意見を聴き、必要な場合には、作業の転換、労働時間の短縮など、適切な就業上の措置をしなければならない。
型式検定及び譲渡の制限となる器具の追加
- 特に粉じん濃度が高くなる作業をする労働者に使用が義務づけられている「電動ファン付き呼吸用保護具」を型式検定及び譲渡の制限の対象に追加する。
受動喫煙防止対策の充実・強化
- 受動喫煙防止のため、職場の全面禁煙、空間分煙を事業者に義務づける。ただし、当面の間は、飲食店や措置が困難な職場については、受動喫煙の程度を抑えるために一定の濃度又は換気の基準を守ることを義務づける。
平成23年度年末年始無災害運動のご案内
実施期間 平成23年12月15日―平成24年1月15日まで
スローガン『声出して ゆるむ気持ちのネジしめて 年末年始も無災害』
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相談員の窓
職場の「備え」としてのリスク管理
(社)日本労働安全衛生コンサルタント会高知支部
支部長 田内 孝也
健全に企業を存続させるには、そこで働く人々の安全と健康の確保が大前提であり、常にそれを脅かす事象への備えが必要である。特に、3.11東日本大震災以降、「備え」に対する意識の高まりを実感する。一方、職場での日常業務に於ける事故、災害に対する備えはと言うと必ずしも万全とは感じない。例えば、熟練労働者は根拠の無い感に頼り経験を過信する。新規の者は知識の無さと技能の未熟を「ーだろう」に任せる。更に管理者は昨日の続きの安穏を想定する。これは正に「人災」であり、人のエラーとして済まされるものではない。従って、備えを万全にと望むなら日常業務でリスク管理を怠ってはならない。
ヒューマンエラーが全て「人災」と言う訳ではないが、放置すれば必ずエスカレートする。ルール違反、不法行為等も同様に放っておくとそのまま職場の常識として広く受け入れられることになる。恐ろしい状況だ。「黙っていれば、分からない」「見つからなければ、構わない」「ちょっとだから、許される」も同じようなものだ。「近道」「省略」を漫然と行う自分自身を、利益の為に、生産性の為にと身勝手な持論で正当化し、自らに言い聞かせ、自らを説得するような軽率な行為は、少なくとも職場では謹んで欲しい。近年、職場第一線に於ける現場力の衰退が嘆かれる。高度成長の時代、あらゆる生産の場では事故・災害を防止することに邁進した。そして事故・災害の無い安定操業を目指した。その過程では、幾多の困難、犠牲を払い、労働者が体験の下、事故・災害を防止する術を身に付けた。これも一つの現場力である。
残念ながら、安定操業の下では前述のような事故・災害の発生による体験型の現場力を身につけることは難しく、これも現場力低下に至る所以である。また、人の力には衰えが有ると言うことを知っておくことも必要だ。視力、聴力、体力は限界もあれば加齢と共に低下もする。現場力も同様に人が発揮する力であることを知り、リスク管理の必要性がある。また、現場力は、事故・災害の発生で学ぶものでも無い。専ら日常の安全管理業務を進める中で技術・技能として身に付けることが本来の姿であり「これからの安全・衛生管理」を定着させるには特に大事なことである。今、職場に於ける労働安全・衛生業務は再発防止型から、「先取り型」のいわゆる「これからの安全・衛生管理」へ早急なシフトが必要である。しかし、その中枢にあるリスクアセスメントの普及、促進が芳しくない。リスクアセスメントの実践は、職場に潜むリスクの顕在化と危険度ランクに応じた措置の優先度を合理的に決定し、労働者はその活動に参画することで危険に対する感受性を高め、日常業務でのリスクを知り、更に、職場で自分達が実施しなければならないことを認識する。これが1つの現場力の醸成で
あり、その過程は力の衰えに対する手当としての効果も期待できる。
リスクアセスメントは労働災害防止措置を論理的に導き出す手法であり、その過程は教育・訓練の場として捉えるなら、労働者のスキルアップに欠かせない。更にリスク評価とその管理を労働災害の発生要因にこだわらず、顧客、サービスの提供、薬品、化学物質の取扱い等、事業活動全般にその対象を広げることにより、リスク管理が事業活動に於ける「備え」としての効果を存分に発揮してくれることだろう。
メンタルヘルス対策支援センター事業のご案内
(厚生労働省委託事業)
職場復帰支援プログラムのご案内
メンタルヘルス対策支援センターでは、メンタル不調で休職中の職員が職場復帰する際のプログラム作成支援を行っています。
職場復帰支援プログラムは、休職者が出てから作成するのもではなく、予め事業場で作成しておかれることをお勧めします。
まず、促進員が事業場へご訪問させていただき、職場復帰に係る現状や今後の取組みの考え方などをヒアリングさせていただきます。その後、職場復帰支援プログラムの標準例をお示ししますので、事業場で第1次案を作成していただきます。第一次案を作成に必要なアドバイスもいたします。提出していただいた案を基にメンタルヘルス対策支援センター内の専門家チームにより検討し、事業場へフィードバックいたします。事業場内で検討していただき、第2次案、第3次案と必要であれば変更を加えて、職場復帰に備えていきます。
センターから「職場復帰判定評価票」や「復職プラン」、「生活リズム表」などの様式も提供いたします。
【お問合わせ先】
メンタルヘルス対策支援センター(当センター内)
〒780-0870 高知市本町4-1-8 高知フコク生命ビル7階
TEL・FAX:088-855-3061(メンタルヘルス対策支援センター専用)
Eメール:mental@kochisanpo.jp (同上)
相談・問い合わせQ&A
相談業務については、昨年度まで実施してきた待機方式の窓口相談に代わり、事前予約方式による面談相談を実施することとしましたので、面談相談を希望される方は、事前に当推進センターまで電話等で予約下さるようお願いします。
また、今までの電話、メール、FAX等での相談や実地相談も受け付けておりますのでご活用下さるようお願いします。
産業保健に関する質問であれば、どんな事でも構いません。お気軽にお問い合わせください。
相談料は無料です。
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貸出図書・DVD・機器のご案内(貸出:無料)
図書・DVD(センター実施研修会)・研修会等用機器(作業環境測定用・研修用)を無料で貸し出しています。なお、作業環境測定用機器については、精度管理を実施していませんので、測定された数値は保障できませんのでご了承ください。
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