デジタル粉じん計による粉じん測定操作について~LD-3K

産業保健情報誌「よさこい」2004.9月号より

高知産業保健推進センター相談員
門田労働衛生コンサルタント事務所長 門田 義彦

デジタル粉じん計LD-3K

相対濃度指示方式の粉じん計を使用すれば、健康に影響を及ぼす作業場内の粉じんや溶接ヒューム、たばこの煙の濃度などを比較的簡単に測定することができます。ここでは、当センターが保有するレーザー式デジタル粉じん計(LD-3K)を中心に操作方法を紹介します。

原理

暗い室内に平行光源があると、この光の中で空中のホコリがキラキラと光る(散乱光)のを見ることができます。この散乱光の強さは、同じ性質の粉じんでは濃度に比例することがわかっています。デジタル粉じん計はこの性質を利用して、空気中の粉じん濃度を測定するものです。LD-3Kは、半導体レーザーを光源として暗箱中に吸引した粉じんに照射し、引き起こされた散乱光を測定することを特徴としています。
原理 デジタル粉じん計は、内部で測定した散乱光を測定時間内の数値(相対値)としてカウントします。カウントした相対値に質量濃度変換係数(相対値1カウントあたりの粉じん重量濃度を示す係数 K値)をかけて、各測定点の粉じん濃度を求めることができるわけです。なお質量濃度変換係数(K値)は、測定対象とする粉じんの種類別に示された値や、相対濃度測定と同時にロウボリウムサンプラー等を使って測定したものを使います。
このようにデジタル粉じん計は、粉じん濃度を1測定点あたり通常1分間程度で簡単かつ正確に測定することができるわけです。

特徴

デジタル粉じん計の長所として以下のことあげることができます。

  1. 取扱いが簡単で特別な熟練を必要とせず、個人差が少ない。
  2. 短時間で測定できる。通常1測定点の測定時間は1~2分程度。
  3. 小型軽量で、携帯、移動に便利。
  4. 電池を内蔵しているので、交流電源は必要ない。

一方で、使用にあたっては次の点に注意が必要となります。

  1. 質量濃度変換係数(K値)は粉じんの性質によって異なるので、正確な濃度を知るには、エアーサンプラーなどで同時に粉じんを捕集して、K値を求める必要がある。
  2. 測定しようとする粉じん以外のすべての浮遊粒子状物質の影響をうける。
  3. 精密機械なので、粗雑な取扱いは故障の原因となる。

質量濃度変換係数(K値)

概略の粉じん濃度を知りたいときには、質量濃度変換係数(K値)として次の数値を使います。

対象粉じん 質量濃度変換係数(K値)
特定粉じん等 0.0025 mg/m3/cpm
たばこの煙等 0.0008 mg/m3/cpm

粉じん濃度(mg/m3)=1分間のデジタル粉じん計カウント値(cpm)×質量濃度変換係数(K値 mg/m3/cpm )
なお、LD-3Kには、あらかじめK値を入力することによって、カウント値を質量濃度に変換する機能もあります。
おって、特定粉じんとは、粉じん障害予防規則別表第2に掲げる特定粉じん発生源からの粉じんをいいます。

測定操作

  1. 本体電源投入します。
    電源投入後機器の自己診断が終了するまで待って下さい。測定画面が表示されます。
  2. 本体上部にある採気口のカバーを上げます。
    そのまま1分間程度放置します。(機器内部洗浄のため)
  3. バックグラウンドの測定を行います。
    時間設定スイッチを数回押してBGモードに切り替えます。液晶には「BG」と表示されます。
  4. 開始/停止スイッチを押します。(6秒間)
    液晶に残り時間が表示されます。これがゼロになったらバックグラウンド測定終了です。
  5. 感度調整を行います。
    本体横にある測定・感度あわせ切り替えノブをSENSI.ADJの位置に押し込みます。液晶に「SPAN CHECK」と表示されますので、1分程度放置します。
  6. 開始/停止スイッチを押します。感度調整には1分程度かかります。
    液晶に残り時間が表示されます。これがゼロになったら感度調整終了です。
  7. 測定を開始します。
    本体横の測定・感度あわせ切り替えノブをMESUREの位置に戻します。
  8. 時間設定スイッチで、測定時間を設定します。
    設定した測定時間は液晶の左下に小さく表示されます(通常は01min)
  9. 採気口のカバーを下げて下さい。
  10. 開始/停止スイッチを押します。
    測定が開始され、このとき液晶に、測定の残り時間が表示されます。これがゼロになったら測定終了です。
  11. 測定終了後、液晶に表示されるカウント値を読み取ります。
  12. カウント値に、質量濃度変換係数(K値)をかけて粉じん濃度をもとめます。
  13. 測定が終わったら採気口のカバーをあげて5分程度動作状態で放置してください。(機器内部洗浄のため)

採気口カバーの位置

各測定点ではそれぞれ10~12の動作を繰り返して、粉じん濃度を求めます。

以上のとおり、当センターが所有するデジタル粉じん計によって、作業場の粉じんや事務所のたばこの影響を比較的簡単に測定することができます。

以上

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ご利用時間:午前8時30分~午後5時15分(土・日曜日・祝祭日、年末年始除く)

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