デジタル照度計のご紹介

産業保健情報誌「産業保健情報誌こうち」2009.1月号より

労働衛生工学担当相談員 中西 淳一

 作業場所の採光、照明、彩色等の視環境は、温熱環境や空気環境、音環境等の一般作業環境要素の一つに数えられており、快適性や作業能率にも大きな影響を与えます。例えば、よく見えないとか、努力をしなければ見えないといった条件の下では、視機能に負担を与えるだけでなく間違いが増加し、不良製品の増加、生産性の低下等をきたす他、眼を作業台に近づけるため、余計に粉じんや有害なガスを吸い込むこと等によって色々な健康上の障害を起こしたり、思わぬケガをすることになります。

一般に、明るさはlx(ルクス)という単位で表されます。1lxは、1cd(カンデラ)の光源から、1m(メートル)離れた所でその光に直角な面が受ける明るさのことです。

労働安全衛生規則604条では、「事業者は、労働者を常時就業させる場所の作業面の照度を、作業の区分に応じて、下表に掲げる基準に適合させなければならない。」

精密な作業 300ルクス以上
普通の作業 150ルクス以上
粗な作業 70ルクス以上

また、労働安全衛生規則605条では、「事業者は、労働者を常時就業させる場所の照度設備について、6ヶ月以内ごとに1回、定期に、点検しなければならない。」と定められています。

しかし、実際には、上表の照度では暗すぎます。そこで、通常は、JIS-Z-9110の照度基準を用いる方が適切であると存じます。事務所の例を下表に示します。

設計、製図、タイプ、計算、キーパンチ 1500~700ルクス
事務室、製図室、電話

交換室、配電盤、計器盤

700~300ルクス
役員室、会議室、応接室、

玄関、エレベーター

300~150ルクス
作業室、更衣室、階段、倉庫 150~70ルクス
非常階段 70~30ルクス

そこで、今回は、高知産業保健推進センターが保有し、手軽に照度を測定することができる東京光電株式会社製 デジタル照度計「ANA-F11」をご紹介します。
デジタル照度計「ANA-F11」の外観と主な仕様は以下の通りです。

高知産業保健推進センターが保有している

東京光電株式会社製デジタル照度計『ANA-F11』

デジタル照度計ANA-11

階級 JIS C 1609一般形A級
光電素子 シリコンフォトダイオード
指示表示 LCDデジタル方式7桁
測定周期 2回/秒
測定範囲 0.0~/99.9/999/9,990/

99,900/999,000lx

レンジ切替、自動/手動レンジ

精度 23±2℃基準

3,000lx以下の表示値

表示値の±4%

3,000lxを超える表示値

表示値の±6%

応答時間 自動レンジ 5秒以下

手動レンジ 2秒以下

温度特性 23℃基準

-10~40℃で±5%

湿度特性 ±3%
使用温度範囲 -10~40℃
使用湿度範囲 80% RH以下

但し、結露なきこと

電源 9V乾電池×1

デジタル照度計「ANA-F11」の操作手順は以下の通りです。

  1. 受光面に、附属のキャップをかぶせ、HOLDスイッチのロックが解除されていることを確認します。
  2. POWERキーを押し、電源をオンにします。
    表示部分の全キャラクタが点灯し、自動ゼロ調整モードに入ると、<-CAL->が表示されます。
  3. 自動ゼロ調整が終了しますと、<-CAL->表示が消え、<0.00>が表示されます。
  4. <0.00>の表示を確認後、受光面のキャップを取り外し、照度の測定を行います。
  5. 測定終了後は、POWERキーを押し、電源をオフにし、受光面を保護するためにキャップをかぶせてください。

※デジタル照度計「ANA-F11」に関するお問い合わせ等につきましては、お気軽に当センターにご相談ください。

以上

ご相談・ご要望を受け付けています。

ご利用時間:午前8時30分~午後5時15分(土・日曜日・祝祭日、年末年始除く)

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